「酸フッ化物」が可視光照射下で光触媒として機能することを発見 東工大と中央大

パイロクロア型酸フッ化物Pb2Ti2O5.4F1.2の結晶構造と光吸収特性

東京工業大学は2018年5月28日、中央大学と共同で鉛とチタンからなる「酸フッ化物」が可視光照射下で光触媒として機能することを発見したと発表した。

太陽光に多く含まれる可視光を利用して、水や二酸化炭素を水素やギ酸などの有用物質に変換する光触媒は、以前より盛んに研究されている。

このような光触媒として、同一化合物内に複数の陰イオン(アニオン)種を含む複合アニオン化合物が注目されている。しかし、そのような光触媒の研究対象は、これまで酸窒化物や酸硫化物、酸ハロゲン化物に限られており、酸素とフッ素をアニオン種として含む酸フッ化物はほとんど検討されてこなかった。

今回の研究では、従来はハンドギャップ大きく可視光応答型の光触媒としては不向きだと考えられていた酸フッ化物が、可視光応答が可能な狭いバンドギャップを特異的に有し、安定な可視光応答型光触媒となることを見出した。

結晶構造解析の結果、この酸フッ化物は、アニオン複合化による酸化物では通常安定的にはならないバイクロア構造によって、酸素-鉛結合距離が特異的に短くなることが判明した。さらに価電子帯において酸素成分と鉛成分が混ざり合い、酸素-鉛結合がもたらす強いイオン間相互作用がバンドギャップの縮小に寄与していることが分かった。

今回の発見により、同様の視点でのバンドギャップ縮小、光触媒機能の創出が他の物質群でも実現可能であると考えられ、太陽光エネルギー変換を目的とした光触媒開発に新たな設計指針を与えるものと期待されるという。

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