パナソニックのオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は2018年5月29日、半導体パッケージやモジュールに適した超低伝送損失基板材料を製品化し、6月から量産を開始すると発表した。同社によると、20GHzで同社従来品の伝送損失が-20.6dB/mなのに対し、同製品は-18.7dB/mで業界最高だという。
IoT の普及や2020年に予定されている第5世代移動通信システム「5G」のサービス開始で、データ通信の大容量・高速伝送化がさらに加速すると予想されている。そのため、通信基地局や各種端末に用いられる半導体パッケージやモジュールの基板材料にも高速・大容量データ通信への対応が要求されている。
従来の基板材料は、誘電正接(絶縁性の物質が蓄えた電気を放出する際の損失量)・誘電率と熱膨張係数(CTE)がトレードオフの関係にある。そのため、低CTEで、かつ高速・大容量データ通信にも適した基板材料の開発は困難だった。
そこで同社は、独自の樹脂設計技術によって、低CTEで低誘電正接、低誘電率の基板材料の開発に成功。耐熱性と耐湿性に優れているため、高温・高湿な屋外環境や半導体デバイスが発熱した場合でも安定した電気特性を保持し、長期駆動が可能だ。さらに、低誘電正接・低誘電率でかつ低CTEの材料であることから反り量が抑制され、基板製造時の歩留りが向上する。
品番はラミネート R-G545L/R-G545E、プリプレグ R-G540L/R-G540E。同製品は、5月29日から6月1日までアメリカで開催されるECTC2018、および6月6日から8日まで東京ビッグサイトで開催されるJPCA Show2018に出展されるという。