中部大学は2018年7月3日、一人ひとりの異なる感情表現に合わせて反応するロボット用AIソフトを開発したと発表した。
従来のAIソフトはほとんど、人の平均的な反応に合わせて反応するようにアルゴリズムが設計されていた。中部大学が開発したAIソフトは、多層のニューラルネットワークによるディープ・ラーニングを利用することで、一人ひとりの異なる感情に対して応えられるようになったという。
研究チームは開発したAIソフトを、自閉症の子供たちの在宅治療などに役立てるため、実用化を目指す考えだ。
研究チームは開発したAIソフトをヒト型コミュニケーションロボット「NAO」に組み込み、日本とセルビアの自閉症児35人を対象にテストした。ロボットが「喜び」「怒り」「悲しみ」「驚き」という4つの感情表現を示した後、子供の表情・声・手足の動き・心拍・体温・皮膚電導度などを最長25分間測定。測定値・性別・文化・診断情報から、ロボットに子供の感情的な状態を予測させた。その結果、プロのセラピストの判断に対して約60%の合意を確認できたとしている。
今後は1年ほどかけて、アジア・アメリカ・ヨーロッパでそれぞれ100人以上のデータを測定し、個々の感情をより正確に理解するAIソフトの開発に取り組む計画だ。
本研究は、米マサチューセッツ工科大学、独アウグスブルク大学との共同研究。論文は米科学誌『Science Robotics』に掲載された。