- 2018-10-1
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- ペロブスカイト, ペロブスカイトフィルム, ペロブスカイト太陽電池, 太陽電池, 気固反応, 沖縄科学技術大学院大学(OIST)
沖縄科学技術大学院大学(OIST)は2018年9月27日、自然界に存在するペロブスカイトの結晶構造を模倣した材料や化合物を用いた太陽電池を開発したと発表した。
太陽電池の商業化には、太陽光の電気への変換率が高いこと、安価に生産できること、耐久性に優れていることが必要とされる。現在、商業化されているほとんどの太陽電池は、約22%という比較的高いエネルギー変換効率の結晶シリコンから作られている。しかし、シリコンは、豊富にあるものの、処理が複雑で製造コストが高いという問題があった。
一方、ペロブスカイト太陽電池は、2009年に開発されてから、わずか9年で変換効率が3.8%から23.3%に上昇。さらには、シリコン系太陽電池を製造するよりも、はるかに安価ですむ可能性が高いとされる。
研究グループは今回、気固反応を用いた技術を使用し、透明な伝導性の基質を、太陽光を非常に効率的に吸収するペロブスカイトフィルムでコーティングした新型太陽電池を開発した。そして、ペロブスカイト層を1μmの厚さにすることで、太陽電池の稼働寿命を延ばせることを発見。太陽電池を800時間稼働させても、ほとんど変化しないことを確認した。また、このペロブスカイト層は、さらに厚くすると、太陽電池の安定性を高めるだけでなく、製造プロセスを容易にし、製造コストが下げられるという。
さらに研究グループは、実験段階の実証タイプよりも大きい、反応面積12cm2の5センチ四方の基質上に複数のセルから成る新ペロブスカイト太陽電池モジュールの実用モデルを構築。スケールアップにより、効率が20%から15%に下がったものの、今後機能を改善することにより、数年での商業化を期待しているという。