- 2022-8-31
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- オームの法則, ゲオルク・ジーモン・オーム, ヘンリー・キャヴェンディッシュ, 並列回路, 抵抗, 直列回路, 素子, 電圧, 電気回路, 電流
オームの法則とは?
オームの法則とは、電気回路における電圧と電流、抵抗の関係性を示すもので、電気を学ぶ上でとても重要な法則になります。1781年にイギリスのヘンリー・キャヴェンディッシュが発見しましたが、未公表だったため広まらず、1826年にドイツのゲオルク・ジーモン・オームが独自に再発見したことから、オームの法則と呼ばれています。
具体的には、「電気回路を流れる電流の大きさは電圧の大きさと比例し、抵抗の大きさと反比例する」というものです。これを公式で表すと、
電流(I)=電圧(E)÷抵抗(R)
になります。また、電流の単位は「A」(アンペア)、電圧の単位は「V」(ボルト)、抵抗の単位は「Ω」(オーム)で表します。
例えば、抵抗が1Ωの回路に1Vの電圧をかけると、1Aの電流が流れます。電圧が2Vの場合は2Aが流れ、抵抗が2Ωの場合は0.5Aが流れます。つまり、電流は電圧が大きいと多く流れ、抵抗が大きいと少なくなるという関係性が成立します。
オームの法則の公式はこう覚える
前述したオームの法則の公式「電流(I)=電圧(E)÷抵抗(R)」から、次の関係性を導くことができます。
電圧(E)=電流(I)×抵抗(R)
抵抗(R)=電圧(E)÷電流(I)
このまま覚えることもできますが、円を使った簡単な覚え方があります。描いた円を横方向に二等分し、さらに下半分だけを縦方向に二等分して3つの部分に区切ります。上半分に電圧E[V]、下半分の左側に電流I[A]、下半分の右側に抵抗R[Ω]を振り分け、電流、電圧、抵抗のいずれか求めたい部分を隠すと、必要な公式が分かる仕組みです。上下の関係は割り算に、左右の関係は掛け算となります。これは頭の中に公式を思い出さなくてもイメージできる、便利な覚え方です。
直列回路と並列回路の場合の計算方法
電気回路には、1列のリード線上に複数の素子を接続した直列回路と、枝分かれしたリード線に素子を接続した並列回路があります。直列回路は、どの箇所で測定しても電流の大きさは同じになり、すべての素子にかかる電圧の和が全体の電圧になります。並列回路は、どの箇所で測定しても電圧の大きさは同じになり、すべて素子に流れる電流の和が全体の電流になるという特徴があります。
また、複数の電池を縦につないだ直列回路の場合は、電池の電圧の和が全体の電圧になり、電池を横につないだ並列回路の場合は、1つ電池の電圧と変わらないという特徴があります。
【直列回路】オームの法則の計算方法
直列回路の全体の電流は、全体の電圧と素子の合成抵抗から求めます。例として、1Vの電源回路に素子を直列接続した場合を紹介します。
合成抵抗は素子の個数に比例するので、1Ωの素子が2つの直列回路(電圧1V)では「1(Ω)+1(Ω)=2(Ω)」になり、回路全体の電流は「1(V)÷2(Ω)=0.5(A)」です。
それぞれの素子にかかる電圧は、全体の電流とそれぞれの素子の抵抗から求められるため、「0.5(A)×1(Ω)=0.5(V)」になります。素子にかかる電圧の和は「0.5(V)+0.5(V)=1(V)」で、全体の電圧と一致します。
次に、電源となる電池を直列接続した場合を見ていきます。
1Vの電池を直列に2個つなぐと、回路全体の電圧は「1(V)+1(V)=2(V)」になります。合成抵抗は2Ωのままだとすると、回路全体の電流は「2(V)÷2(Ω)=1(A)」です。それぞれの素子にかかる電圧は、全体の電流とそれぞれの素子の抵抗から求められるため、「1(A)×1(Ω)=1(V)」になります。
電池を直列に2個つなぐことで、素子にかかる電圧と流れる電流が2倍に増えたことが分かります。ちなみに、電池の寿命は1個の場合と同じです。
【並列回路】オームの法則の計算方法
並列回路の全体の電流は、全体の電圧と素子の合成抵抗から求めます。合成抵抗は素子の個数と逆比例するので、1Ω素子が2つの並列回路(電圧1V)では「1/(1+1)=0.5Ω」になり、回路全体の電流は「1(V)÷0.5(Ω)=2(A)」です。
それぞれの素子に流れる電流は、全体の電圧とそれぞれの素子の抵抗から求められるため、
「1(V)÷1(Ω)=1(A)」になります。素子に流れる電流の和は「1(A)+1(A)=2(A)」で、全体の電流と一致します。
次に、電池を並列接続した場合を見ていきます。1Vの電池を並列に2個つないでも、回路全体の電圧は1Vのままです。電池を横につないだ並列回路の場合は、1つ電池の電圧と変わらないという特徴があるためです。そのため、回路全体の電流も変わりませんが、電池の寿命は2倍になります。
まとめ
電気について学ぶうえで、最も重要な公式のひとつがオームの法則です。電気の流れや大きさは目に見えないため、とっつきにくく感じるかもしれませんが、オームの法則を理解することで、ずいぶんと電気が身近な存在に感じられるはずです。
最初は円を描きながら公式を覚え、簡単な回路図を使って各数値を求めることで、電気の仕組みが知識として徐々に身に付いていきます。さらに興味が湧いてきたら、電気についての知識の幅を広げるチャンスです。より高度な公式や仕組みの理解にチャレンジしましょう。