東レは2018年11月19日、高圧縮強度と高弾性率を両立させた新しい炭素繊維「トレカMXシリーズ」を開発したと発表した。さらに、トレカMXシリーズを使用した中間基材を展開すると発表した。
炭素繊維の繊維強度と弾性率はトレードオフの関係にある。この2つを両立させることは、使用する炭素繊維の量を減らすることで製品などの軽量化が可能なため、市場からの要望が強かった。しかし、弾性率350GPa以上の高弾性率を保ったまま繊維強度を上げることは、技術上困難だった。
そこで東レは、従来と比較してより微細なナノレベルの繊維内部の黒鉛結晶構造を緻密に制御することで、配向性を高める独自技術を適用。トレカMXシリーズの最初の品種「M40X」において、従来の炭素繊維における弾性率を保持したまま、強度を約30%向上させた。
東レは併せて、複数のポリマーをナノメートルオーダーで微分散させることで、特性向上を発現させることができる、東レ独自の「ナノアロイ」技術を用いたトレカMXシリーズの中間基材(プリプレグ)も展開していく。同プリプレグは引張強度や圧縮強度、耐衝撃性が向上し、強度を保持したままで理想的な剛性設計が可能になるという。
今後、ニーズに合わせてさらにラインナップを拡充させていく予定だ。