- 2018-12-28
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- Bruce Banerdt, NASA, NASAジェット推進研究所(JPL), インサイト, 低く、まとわりつくような音(haunting low rumble)
NASAの火星探査機「インサイト」が、2018年11月26日に火星に着陸。過去に例のない、赤い惑星の表面を吹く風の「音」を伝えてきた。
アメリカ・カリフォルニア州パサディナのNASAジェット推進研究所(JPL)の発表によれば、インサイト着陸機のセンサー類は、北西から南東に向かって吹く秒速5~7メートルと推定される風によって引き起こされた、「低く、まとわりつくような音(haunting low rumble)」を捉えた。JPLが公開した動画には、大型機器の発する低周波騒音のような音が収録されている。とても低い音で、ヘッドフォンやウーファーを使わなければ、聞き取るのは難しいだろう。
この音は、インサイト着陸機の太陽電池パネルの上を風が吹き、これが引き起こした振動を、搭載された展開前の高感度地震計と、着陸機内の気圧センサーが捉えたものだ。低いとはいえ、その振動波長は人間の可聴範囲にあり、音として聴くことができる。
インサイトの運用期間は火星の時間で1年と40日。地球の時間では2020年11月24日までで、主なミッションは火星内部の調査だ。インサイト主任研究員のBruce Banerdt氏は、「可聴範囲の音を捕らえたことは、想定外の出来事だった。しかし、我々のミッションの目的は火星上の動きを計測することであり、音波によるものも当然含まれる。」と述べている。今後のJPLの発表に注目したい。