車からドローンに変形――液体金属を使ったキリガミベースの複合材料を開発

  • Tweet
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Virginia Tech Mechanical Engineering/YouTube

バージニア工科大学の研究チームは、液体金属と切り紙ベースの構造を利用して、車両からドローンへ変形可能な自律ロボットを開発した。ギアやモーターを使うことなく、何度でも変形し、形状を維持し、元の姿に戻ることができる。研究結果は、2022年2月9日付けの『Science Robotics』に掲載されている。

自然界は、多彩な機能を発揮するために形を変えられる生命体であふれている。人間は筋肉を動かして、負荷に耐えつつ形を保持する。植物は、一日を通して日光を受けるために向きを変える。ロボットにも、がらりと形状を変えられる柔軟性と、さまざまな機能を果たせる剛性を持たせるため、Michael Bartlett助教率いる研究チームは、材料レベルの変形手法を開発した。

「プロジェクトを始めるにあたり、我々は3つの機能を備えた材料を必要とした。形を変え、その形を保ち、元の形に戻れることだ。そして、このサイクルを何度でも繰り返せること」と、Bartlett助教は語る。

まず、変形構造とするため、研究チームは切り紙パターンに着目した。ゴムや複合材料におけるパターン強度を調べ、幾何学パターンの繰り返しから成る材料構造を作り上げた。切り紙ベースのデザインは、円筒から球、さらには凸凹の複雑な3D形状も可能にする。

次に、形状を保ちつつ、必要に応じてその形状を消去できる材料を開発するため、研究チームは、低融点合金(LMPA)に着目した。LMPAを内骨格としてゴムの皮膚で包んだ複合材料は、引っ張られるとすぐに望みの形状で留まり、負荷耐性を発揮することができた。

最後に、元の形状に戻るため、柔らかく巻きひげのようなヒーターをLMPAメッシュのそばに組み込んだ。ヒーターによって加熱されると、金属は60℃で液体に変わる。ゴムは溶けた金属を所定の位置に留め、形状を元に戻していく。金属が冷えると、形状は再びロックされる。

開発した複合材料を使うと、0.1秒以下の速さで平面から負荷耐性を備えた複雑な形状へと変形できた。材料が壊れた場合でも、金属の内骨格を溶かして再構成することで、何度でも使用できる。

研究チームは、開発した材料と電源、制御基板、モーターなどを組み合わせて、機能的なドローンを作製した。公開中の動画では、走って来た車両がいったん止まり、丸みを帯びていた車体を平らに変形させ、クワッドコプターとなって飛んで行く様子が分かる。その他、変形しながら水槽中を浮き沈みし、底の物資を回収する小型潜水艇も作製している。

将来的には、自己修復能力などの機能を強化して、ヒューマンマシンインターフェースやウェアラブルデバイスへの展開も見込んでいる。

関連リンク

New soft robot morphs from a ground to air vehicle using liquid metal

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る