- 2019-3-6
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- Xiangfeng Duan, カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA), サウジアラビア・サウド国王大学, セラミックエアロゲル, パデュー大学, 中国湖南大学
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)は、同学バークレー校をはじめとする8つの研究機関と共同で、従来よりも格段に高い耐久性を持つセラミックエアロゲルを開発した。
エアロゲルは、ゲルを超臨界乾燥させて作る非常に低密度の多孔性物質だ。体積の99%以上が気体で構成されているが、構造的には固体で非常に強い。セラミックス、カーボン、金属酸化物を含め、様々な種類の材料から作ることができる。
特にセラミックベースのエアロゲルは、超高温や超低温をブロックすることに優れ、火炎と腐食に対して高い抵抗力がある。セラミックエアロゲルは1990年代から工業設備の断熱材に使われており、NASAの火星探査車ミッションにも使用されている。しかし、非常に脆いという弱点があり、極端な温度変化を繰り返し受けると砕けやすくなる。
今回UCLAがパデュー大学、中国湖南大学、サウジアラビア・サウド国王大学などと共同で開発した新材料は、金網のように六角形パターンに原子が結合した窒化ホウ素の薄層から成る。一般的なセラミックスと異なり、この新材料は加熱すると収縮するという。
また、新材料は圧縮すると押された方向と垂直に収縮するため、従来のセラミックエアロゲルより遙かに柔軟で脆性がなく、普通ならエアロゲルが砕けてしまう状態に耐えるという。-198℃から900℃へ数秒で変化させる数百回の温度試験に耐え、また、1400℃の下に1週間置かれても、機械的強度は1%低下したに過ぎなかった。
UCLAのXiangfeng Duan教授は新材料の特徴に関して、「この新しいセラミックエアロゲルの耐久性の鍵を握るのは、独特な構造だ。この構造が持つ柔軟性が、他のエアロゲルが破壊されてしまう超高温や極端な温度変化に材料を耐えさせている」と、説明している。
そして、「この材料は宇宙船や自動車などの断熱材として利用でき、熱エネルギーの貯蔵や触媒、濾過などにも有益だろう」と、新材料の有用性について述べている。
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