- 2019-10-25
- REPORT, 制御・IT系, 電気・電子系
- e-SKYACTIV, M HYBRID, MAZDA MX-30, MAZDA3, SKYACTIV-X, SPCCI, フリースタイルドア, マツダ, 火花点火制御圧縮着火, 第46回東京モーターショー, 量産型EV
マツダは、2019年10月24日から開催されている第46回東京モーターショーにおいて、同社初の量産型EVモデル「MX-30」を発表した。(執筆:後藤銀河)
MX-30のコンセプトは、「Human Modern」。クルマと過ごす日々の楽しさを表現するべく、人の手が生み出す美しい形とこだわりのつくり込みを基礎としながら、新たなライフスタイルに寄り添った表現の方向性を模索。今までにない表現のアプローチにより「魂動」の拡がりを体現した、独自のデザインを完成させたとしている。
世界初公開となるMX-30のエクステリアは、生き物のような躍動感を感じさせる「魂動」と呼ぶにはややオーソドックスな印象を受ける。ほぼ量産型そのままのデザインはショーモデルのような派手さはないが、同社による「自分に寄り添ってくれるような親近感のある佇まいや、心が自由になる開放的な空間をはじめ、人を中心に考えた作りこみ」の結果、とても落ち着いた仕上がりを見せている。
MX-30の外観で最も特徴的と言えるのは、観音開きに開閉する前後ドアだろう。3+2ドアハッチバックのようなデザインは、同社のスポーツカーRX-8で採用されていたものだが、センターピラーを持たない「フリースタイルドア」によって、「機能的な面だけでなく、クルマを自由な発想で使っていただける可能性」を持たせたとしている。
欧州仕様車として公開された主要諸元によると、ボディサイズ(全長×全幅×全高)は4395×1795×1570mm、ホイールベースは2655mmと、同社のCセグメントとなるMAZDA3(マツダ・スリー)(国内仕様)の数字(4660×1795×1445mm、2725mm)と比較して、やや小型というディメンジョンだ。車高がやや高いのは、床下にリチウム電池を格納するが故だが、フリースタイルドアと相まって、前席がメインとなるライフスタイルを想定してのパッケージングなのだろう。
公開されたボディ下部のフレームの画像からは、フロントに1モーターを置くFF駆動のようにみえる。バッテリー容量は35.5kWhと、量産EVとして先行する日産リーフ(40kWh/60kWh)と比べると標準的なサイズと言えるだろう。欧州向けモデルには、COMBO(コンボ)規格に対応した急速充電ポートを、ボディ右後部に配置している。
EVのパワートレーンは、「e-SKYACTIV」と名付けられている。また、フロントバンパーとモーターの間にかなりの空間があるように見受けられる。詳細は不明だが、レンジエクステンダー搭載モデルの登場に期待したいところだ。
MX-30の欧州向けは予約受付を開始しており、2020年後半の発売を予定している。日本向けの登場が楽しみなモデルといえるだろう。
待望のSKYACTIV-X搭載モデルは、2019年12月に国内発売
マツダと言えば、「EVも良いが、内燃機関でも頑張ってほしい」と思っている人も多いだろう。前回2017年の東京モーターショーでも注目を集めていた「SKYACTIV-X」だが、同社独自技術の「火花点火制御圧縮着火(SPCCI)」を搭載するSKYACTIV-Xエンジンを搭載するグレードがMAZDA3に設定され、いよいよ国内でも発売される。
SPCCIは、ガソリンエンジンでありながら、ディーゼルエンジンと同じように「圧縮着火」を実現する燃焼方式だ。ピストンが混合気を圧縮し、上死点付近となったタイミングで筒内にガソリンを追加噴射したうえでスパークプラグを使って点火する。スパークプラグ周りに発生した火炎球が筒内の圧力をさらに高め、混合気全体の圧縮着火を実現するというものだ。これにより幅広い領域での圧縮着火による燃焼制御を可能とし、ディーゼルエンジンの特長であるリーンバーン(希薄燃焼)をガソリンエンジンでも可能とした。これにより、シャープなレスポンスやトルクフルで爽快な加速感を、低燃費・環境性能と共に実現した。
また、SKYACTIV-Xエンジン搭載モデルには、減速エネルギーを電力として蓄え、発進加速時にモーターで駆動をアシストするマツダ独自のマイルドハイブリッドシステム「M HYBRID」が組み合わされ、さらなる燃費性能の向上を実現する。
SKYACTIV-Xを搭載するMAZDA3の国内発売は、2019年12月になるとのことだ。
関連リンク
MAZDA MX-30
MAZDA3
東京モーターショー 2019
ライタープロフィール
後藤 銀河
アメショーの銀河(♂)をこよなく愛すライター兼編集者。エンジニアのバックグラウンドを生かし、国内外のニュース記事を中心に誰が読んでもわかりやすい文章を書けるよう、日々奮闘中。