- 2019-12-12
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- ACS Nano, Ho Seok Park, Keun-Young Shin, ウェアラブルエレクトロニクス, セレン化ニオビウム(NbSe2), セレン原子, 成均館(ソンギュングァン)大学校, 翰林(ハルリム)大学校, 超薄型アンテナ, 金属ニオブ原子
ウェアラブルエレクトロニクスを意識した超薄型アンテナの研究が、2019年11月20日付で科学ジャーナル『ACS Nano』で発表されている。このアンテナは人間の髪の毛の100分の1ほどの薄さで、これまでに報告された中で最も小さい無線周波数アンテナだという。
電波を送受信するアンテナは、通常、アルミニウム、銅、銀などの金属導体でできている。これらの材料の導電率は高いものの、超薄型軽量アンテナではうまく機能しない。このため、ほとんどの金属製アンテナの直径は30マイクロメートルよりも大きく、小型電子機器での応用が制限されている。
韓国の成均館(ソンギュングァン)大学校のHo Seok Park教授と翰林(ハルリム)大学校のKeun-Young Shin助教授をはじめとする研究者たちは、より小さいアンテナを作るため、金属ニオブ原子の層をセレン原子の層で挟むという構造のセレン化ニオビウム(NbSe2)から成る極めて薄いシートを使うことを考えた。
研究者たちはプラスチック基板にスプレーコティングしてセレン化ニオビウムナノシートの層を複数形成し、アンテナを作成した。出来上がったアンテナは厚さわずか885ナノメートル、面積10×10平方ミリメートルで、放射効率70.6%で高周波を全方向に発射できた。アンテナの長さを変えれば、BluetoothやWi-Fiで使える周波数を含む2.01~2.80GHzに同調させることができるという。
この新しいアンテナは、ウェアラブルエレクトロニクスの他にも、宇宙空間の極低温状態で素材が超伝導体となるため、将来、深宇宙通信システムに応用できるだろうと研究者たちは考えている。