電気・制御系だけでは不十分。機械系エンジニアの専門性が必要とされる自動化の領域は?[“完全”自動化の時代へ]


~ 工場自動化(FA)の最新事情をエンジニアリングの分野別に考える ~

本記事は、エンジニア専門の人材紹介会社メイテックネクストのキャリアコンサルタント熊谷英治氏への取材を通じて、工場自動化(FA:ファクトリーオートメーション)の最新事情をお伝えしていく連載記事です。

“完全”自動化を視野に入れた求人が少しずつ増えてきましたが、機械系エンジニアの専門性・経験はどんなところで生かせるのでしょうか。今回は、自動化にかかわるエンジニア市場において、高く評価される機械系エンジニアの専門性・経験について取り上げていきます。(執筆:中嶋嘉祐)


――前回、“完全”工場自動化を現実のものにするため、必要とされる機械系エンジニアの専門性・経験もあると伺いました。

[メイテックネクスト 熊谷 英治氏]“完全”工場自動化に向けて動き出した企業では、機械系エンジニアよりも電気・制御系エンジニアの方がより多く必要とされているのは確かです。

カメラやセンサーで取得したデータをどう処理するか。装置をどう制御して動かすか。機械だけではなくて電気や制御のことも分かるエンジニアの方が、人材紹介会社としてご紹介できる求人の数は多くなります。

それでも、「これまで手作業だった工程をロボットに置き換える」といった自動化の工程を設計するには、工作機械の動きや取り扱う材料の機械特性に詳しくないといけません。もっと言うと、切削・プレス・成形といった生産技術の知識も求められます。

少人数にはなりますが、“完全”工場自動化を引っ張っていく“最上流”のところには、工場長や生産技術マネージャーなどの経験を積んだ機械に詳しいエンジニアが必要とされるのではないでしょうか。

“完全”工場自動化に興味があれば、ポテンシャル採用される可能性はある?

――最近のエンジニア市場は「売り手市場」と言われています。実績や経験がなくても、ポテンシャルで採用を決めることも増えているようですが、工場自動化関連の求人でもポテンシャル採用は多いのでしょうか?

[熊谷氏]電気・制御系エンジニアなら可能性はあるかもしれませんが、機械系エンジニアのポテンシャル採用は期待できません。まだ各社が手探りの状況ですから、即戦力にならない人材を育てている余裕はないでしょう。もっと“完全”工場自動化が進み、業務が定型化・細分化されてきたら、ポテンシャル採用して経験を積ませながら育てようとする企業は増えていくとは思いますが。

自動化関連の実績・経験なしでも採用される可能性があるとすれば、Tier1の自動車部品メーカーで生産技術にかかわるエンジニアでしょうか。

Tier1では、部品単体ではなく、いくつかの部品を組み合わせたユニットを作っています。ですからTier1で働く生産技術エンジニアには、「特定の工程だけに詳しいエンジニア」よりも「複数の工程を分かっているエンジニア」の方がずっと多いのです。

「組み立て中の製品を装置と装置の間を移動させるとき、どうすれば短時間で済むか」といった課題に対して、自分で解決策を考える経験を積んでいれば、“完全”工場自動化にかかわるエンジニアとしても高く評価されるでしょう。



熊谷 英治(メイテックネクスト 機械・メカトロ分野 コンサルタント)

<メッセージ>
生産技術のエンジニアとして約11年間メーカーで勤務いたしました。
お客様やベンダーをはじめ、自社の営業・開発・設計・技術・品質保証など数多くの人とプロジェクトを動かした経験や、国内・海外工場で得た知識・体験を生かして全力で転職支援させていただきます。
転職活動を始めると、噂などを含め転職に関する情報量があまりに多いため、本来の思いを見失ってしまう方がいます。
そういったことが無いよう、日々生じる不安・疑問を取り除き、思いに合った企業に出会えるようサポートいたします。


取材協力先

メイテックネクスト
メイテックネクスト分野別コンサルタント

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