古河電気工業は2020年1月27日、電界共振結合方式によるワイヤレス電力伝送で、4.7kWの電力伝送を距離95mmで実現したと発表した。同社によると同方式による同規模の電送力を実現したのは世界初となる。
電界共振結合方式によるワイヤレス電力伝送は、HF帯と組み合わせることで共振用のコイルが小型化でき、送受電カプラを軽量化できるメリットがある。しかし、原理的に大電力の電送には不向きだとされ、13.5MHzのHF帯使用時で2.5kWまでしか伝送例がなかった。
今回同社ではカプラの構造を見直すことで、より高い効率で大電力を伝送することに成功。カプラ効率94%を達成している。カプラ部のサイズは480×480×100mmで重量は約4.3kg。電源には市販品の13.56MHz、水冷、AB級、5kW級RF電源を用いた。
今後は電界共振結合方式の軽量で金属異物を加熱しないという特徴を活かし、次世代の電動小型モビリティやロボット、無人搬送車などへのワイヤレス給電の適用を図る。さらにカプラの小型化や高効率化および大出力化に取り組むと共に、GaNデバイスを用いた高周波電源の開発にも着手し、2025年頃の実用化を目指す。