窒化ガリウムの低コスト結晶製造装置を開発――高性能GaNデバイス開発への突破口に JST

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科学技術振興機構(JST)は2019年11月15日、東京農工大学と大陽日酸と共同で進める産学共同実用化開発事業の開発課題「トリハライド気相成長法(THVPE法)による高品質バルクGaN成長用装置」の開発結果を成功と認定したと発表した。

電子デバイス構造の土台となる窒素ガリウム(GaN)結晶基板の製造の多くはHVPE法で製造されているが、結晶の反りなどの理由で厚みを確保することが難しく、炉の清掃など、結晶成長の前後処理にかかる工数などにより、コストと結晶品質の面で、実用的なGaN結晶が製造できていないという。

大陽日酸は、東京農工大学が特許を持つ技術をもとに、従来のHVPE法を発展させ、より高温(1200~1400度程度)で結晶を成長させる三塩化ガリウム-アンモニア反応系を用いたトリハライド気相成長法(THVPE法)による装置を開発した。

開発したTHVPE装置は、石英反応管の耐熱温度1300度以上の高温環境(最大1600度)で直径4インチまでのGaN結晶が成長できる結晶成長炉を備え、原料である液状の金属Gaを効率的に反応系に供給し確実に三塩化ガリウムにガス化する仕組み、さらに、原料ガスの流れを均一に保ち気相でGaNの核が生成するのを抑える仕組みがデザインされたという。

種結晶としてGaN結晶のN極性面を使用するため種結晶裏面の熱分解を防止する保護膜を最適化し、結晶成長速度は最大0.32ミリメートル毎時と従来法の3倍以上、転位欠陥は1×106毎立方センチメートル以下と従来法の5分の1の高品質の両立に成功した。

また、基板サイズにおいては直径2インチ、結晶厚みにおいては1.8ミリメートルまでの、透明な結晶成長を実証。反応炉である石英管の劣化が生じにくいこと、成長面積の減少がないこと、不要なポリ結晶成長が生じないことなど、従来法の高コストを引き下げるさまざまな特長も見い出された。

同技術によってGaN結晶を厚いバルクで得られれば、スライスしてGaN基板を大量生産でき、安価で高性能なGaNデバイスの開発への突破口になるとしている。

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