米空軍、12億ドルをかけて早期警戒管制機「E-7A」を導入へ

ボーイングは、アメリカ空軍省から最大12億ドル(約1561億円)の契約を獲得し、冷戦時代に活躍した早期警戒管制機(AWACS)「E-3 セントリー」の後継機として、同社の早期警戒管制機(AEW&C)「E-7A ウェッジテイル」の派生型を開発すると発表した。

AWACS(Airborne Warning And Control System)は、大型航空機に高性能レーダーを搭載し、敵性航空機などの脅威を地上のレーダーよりも早く発見するための、早期警戒を行う軍用機だ。広範囲かつ早期に発見し、その情報を陸海空の友軍に伝達し、さらに指揮命令まで行うための機体だ。

ボーイングの4発式大型ジェット旅客機「707」をベースにしたE-3の運用開始は1977年。冷戦時代にはアメリカ、イギリス、フランス、NATOなどの航空隊に展開され、敵機を探知する飛行観測や航空司令部として活躍した。何度かの近代化改修を受けながら運用を継続しているが、老朽化が進んでいる機体もあり、米空軍では後継機種が検討されていた。

E-3の後継として選定されたE-7Aは、ボーイングの双発式小型ジェット旅客機「ボーイング737 ネクストジェネレーション」をベースとするAEW&C(Airborne Early Warning and Control)だ。AWACSと比べて小型の機体を改造のベースとするが、高度な空中移動目標表示と戦闘管理、コマンド・コントロール機能、そして最新のMESA(Multi-role Electronically Scanned Array:多機能電子走査アレイ)レーダーを装備することで、空中戦闘管理を強化し、潜在的な敵対勢力との長距離キルチェーンを可能にするとしている。

E-3の外観で最も特徴的な巨大な回転式レーダードームには、パッシブフェーズドアレイレーダー「AN/APY-2」と、敵味方識別装置「AN/APX-103」が搭載されている。一方のE-7Aは、背ビレのように突き出た細長い板状のMESAレーダーと呼ばれる、固定式アクティブフェーズドアレイレーダーを搭載する。この新しいレーダーは、軽量化に貢献し、複数の空中・海上の脅威を360度同時に追跡することが可能だ。各種管制用ソフトウェアはオープンアーキテクチャを採用し、技術の進歩に応じたアップグレードが可能だという。

「今回の契約締結は、今後数十年にわたり、米軍の戦闘員、同盟国、パートナーに戦域認識・管理能力を提供し続けるための重要なステップだ。E-7Aは、その正確かつリアルタイムな空間認識により、幅広い環境と運用条件下で個々の航空機を制御し指示することができる」と、調達・技術・兵站担当空軍次官補のAndrew Hunter氏は述べている。

米空軍は2025年度に生産を開始するものとし、最初のE-7Aは2027年度中に運用開始する予定だ。最初の2機をラピッドプロトタイピングにより導入した後、2032年度までに24機のE-7Aを追加調達し、E-7Aの総保有数は26機となる予定だ。当面早期警戒の主力はE-3が継続して担い、一部をE-7Aで置き換えていく形になる。

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