- 2020-3-24
- REPORT, 機械系
- 3D CAD, CAD, パラメトリックモデリング
ダイレクトモデラーやCG系ソフトウェアに慣れている方だと、基準を決めてモデリングするやり方になじみがない方も多いと思う。今回は、機械系の3Dモデリングで大事になる、基準の決め方について解説する。(執筆:小林由美)
基準はどうやって考えるのか
パラメトリックモデリングは座標値が「0,0,0」になる原点を1つ決めておいて、そこを起点にして形状を考えていく。この0の点は、何を根拠にしているかは、状況や目的によって少しずつ異なるが、大きくは、「機械設計での基準」と「機械加工時の基準」の2つだ。
まず、装置や製品そのものの設計で大事なのは、部品が組み立てられることで、仕様で求められている機能を損なわないように、基準点を決めて公差(誤差)管理をしていくこと。一方、機械加工時の基準は、想定される加工プロセスの都合を考慮して決めるものだ。この両者は一致する場合もあれば、一致しない場合もある。また、治具設計や機械加工に比較的近いところにいる設計者は、機械加工の際の基準を重視する傾向があるようだ。
このあたりをどう決めるのかは、機械設計そのものの話になっていくため、ここでは詳細は割愛するが、重要なのは、0になる点を意識して、モデリングや部品配置をしていかなければならないということだ。
気まぐれであちこちから寸法を決めてしまうと、後々、修正や変更がやりづらくなってしまったり、どうしてその寸法や形状が決まったのかの根拠が分からなくなってしまったりする。
また基準が明確でないまま図面を製図した場合では、図面を読み取る人にとっても非常に分かりづらくなる。
CADにおける基準平面やXYZ軸
パラメトリックCADは、新規作成画面で基準平面が3つ設けられている。CADによっては、機械製図の投影図のルールに基づいて「平面」「正面」「側面」と表現したり、「上」「前」「右」の方向を示していたりするなど、いろいろある。軸は3つあり、Xは横軸、Yは奥行き、Zは高さになる。Yを横軸、Zを奥行きなど、適当に扱ってもモデリングそのものは支障ないのだが、特に機械設計の場合ではXYZは最初から意識してモデリングしていくことが望ましい。
モデリングをするときだけではなく、部品データを組み立てていく「アセンブリ」を作成するときも、平面や基準は常に意識する必要がある。
次回以降は、寸法拘束や幾何拘束について解説する。
連載記事
基準と寸法拘束について――パラメトリックモデリング超入門(1)
ライタープロフィール
小林 由美
メーカーで業務用機器やコンシューマ機器の機械設計を経験後、大手メディアの製造業専門サイトのシニアエディターを経て、2019年に株式会社プロノハーツに入社。現在は、広報、マーケティング、イベント企画、技術者コミュニティー運営など幅広く携わる。技術系ライターとしても活動。