日本精工(NSK)は2020年10月21日、信頼性を維持しつつフリクションを減らした「電動車向け低フリクションハブユニット軸受」を開発したと発表した。ハブユニット軸受とは、タイヤのホイールを支える軸受と車体に取り付ける部品が一体化したユニット軸受。グリースの改良によりフリクションを減らし、自動車の燃費/電費の向上によりEV航続距離の延長に貢献する。
普及が期待されている環境負荷が小さいEVやHEVは、モータ走行モードでの航続距離延長が普及の課題になっている。航続距離延長には、回転部分の低フリクション化が有効で、中でもハブユニット軸受のフリクション低減は大きな効果が得られるため、ここに着目して電動車向け低フリクションハブユニット軸受を開発した。
開発したグリースは、グリースに含まれる基油と増ちょう剤を改良。信頼性を維持しつつ、これまでに比べ軸受内部のフリクションを30%低減させたという。開発グリースは、ボールが転がる際に生じる抵抗を基油の低粘度化によって減らすことに加え、増ちょう剤の種類を変更してグリースの抵抗を低減する。また、グリースを硬くすることにより、軸受内部の適正な位置にグリースが移動して、ボールが転がる際に生じるかくはん抵抗を減らし、低フリクション化している。
開発グリースを使用したハブユニット軸受は、電動車を中心とした自動車に搭載されることで、航続距離を延長し、燃費の向上とCO2排出量の削減にも貢献する。EV航続距離は約0.6%向上しており、これはバッテリー重量約1.4kg削減に相当するという。2026年、34.5万トンのCO2排出量削減に貢献する。
同社では、本製品の売り上げとして2026年に300億円を目指す。