DICは2020年12月10日、電子機器などの放熱用途で用いられるアルミナフィラー(充填材)の板状アルミナ「CeramNex(セラネクス)AP10」を開発し、2021年1月より長瀬産業を総代理店として販売開始すると発表した。同製品は、少量の添加で高強度化が期待できる。
アルミナフィラーは、熱的安定性が高く、自動車や電子機器の部材の放熱用途などで用いられる充填材だ。熱伝導性を樹脂部材に付与するため、配合設計で大量に用いられることがある。しかし、大量のフィラーは成型性を低下させ、成形物の機械強度を低下させる要因になる。
そこで開発されたのがCeramNex AP10だ。CeramNex AP10は、粒状や不定形な形状を呈する一般的なアルミナフィラーとは異なっており、高い結晶性を有し、アスペクト比が高い板状となっている。そのため、他の形状のアルミナフィラーと比べ、少量の添加で高強度化が望める。結果として、軽量化に貢献する。
またCeramNex AP10は、添加物表面の平滑性の向上に寄与する。そのため、自動車やエレクトロニクスの分野以外での用途を含む幅広い用途で利用できる。
DICは今後、品番ラインナップを拡充する予定。日本、中国、韓国、台湾、欧米地域の自動車部品/電子部品関連メーカーへの販売を視野に入れ、2025年までに売上高8億円を目指すという。