- 2021-6-23
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- Hongxia Wang, Journal of Materials Chemistry A, Prashant Sonar, QUT, カーボンナノドット, クイーンズランド工科大学(QUT)材料科学センター, ペロブスカイト太陽電池, 単結晶シリコン太陽電池, 太陽電池, 毛髪
ペロブスカイト太陽電池は、シリコン系の太陽電池と比較して製造が容易で低コストであり、柔軟性があるために活用の幅が広いことから、次世代の太陽電池として注目が集まる。市販の単結晶シリコン太陽電池と同等の電力変換効率を達成しているものの、まだ安定性における課題がある。
こうした中、クイーンズランド工科大学(QUT)材料科学センターのHongxia Wang教授およびPrashant Sonar准教授は、ヒトの髪の毛から生成したカーボンナノドットを使って、ペロブスカイト太陽電池の性能向上が図れることを示した。同研究内容は、材料工学の学会誌Journal of Materials Chemistry Aに掲載。2021年4月8日には、QUTからプレスリリースが出ている。
Sonar准教授率いるチームは昨年、ブリスベンの理髪店から提供されたヒトの毛髪を分解し、240℃で燃焼させてカーボンナノドットを生成。これを未来のスマートデバイス向けのフレキシブルディスプレイに変えられることを示した。一方Wang教授率いるチームは、ナノ構造のカーボン材料を使用して、太陽電池の性能向上に成功している。
新しい研究ではWang教授のチームが、ペロブスカイトを作るプロセスにカーボンナノドットの溶液を加えることで、保護層を形成するのを発見。“一種の鎧”となり、損傷を与える可能性がある湿気や、他の環境要因からペロブスカイト材料を保護する。
カーボンドットで覆われたペロブスカイト太陽電池は、カーボンドットのないものと比較して高い電力変換効率と安定性を備えていたとのことだ。