- 2021-7-28
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- カーボネート合成, ジオール, プラスチック, 二酸化炭素, 大阪市立大学, 日本製鉄, 有機カーボネート, 東北大学, 研究, 脂肪族ポリカーボネート, 酸化セリウム触媒
東北大学は2021年7月27日、同大学と大阪市立大学、日本製鉄の研究チームが、脱水剤を使用せずに常圧二酸化炭素からプラスチックを直接合成できる触媒プロセスを開発したと発表した。
二酸化炭素を有用な化学品に変換する手法は、地球温暖化への対策の一つとして近年注目を集めている。二酸化炭素にアルコールやジオールを反応させることで得られる有機カーボネートや脂肪族ポリカーボネートは、ホスゲンや一酸化炭素といった有毒な化学原料を用いないカーボネート化合物として有力視される。
しかし、従来の二酸化炭素とジオールからポリカーボネートを合成する手法では、脱水剤の回収および再生や高圧の二酸化炭素が必要となる点が課題となっていた。
同研究チームは今回、脱水剤を用いない水除去手法として、生成物やジオールと水との沸点差に着目した。常圧の二酸化炭素を吹き込み、水を蒸発除去することで、カーボネート合成が進むと予想して実験を進めた。
さまざまな金属酸化物触媒を用いたところ、酸化セリウム(CeO2)触媒のみで高い活性を示すことが判明し、脱水剤や高圧二酸化炭素を必要としない触媒プロセスの開発に成功した。
今回開発したプロセスは、沸点が水の沸点よりも十分に高い基質であれば適用できるものとみられるため、リチウムイオンバッテリーの添加剤やポリマー合成用原料に用いられる有機カーボネートやカーバメート、尿素なども合成可能であることが期待される。
同研究チームは、実用化に向けて固体触媒の改良やスケールアップを含めたプロセス検討を進め、さらなる研究開発を行う。