DARPAが人間の脳を模倣したイベントカメラの開発を開始

アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)は2021年7月2日、人間の脳の働きを模倣したカメラ開発プログラム「FENCE(Fast Event-based Neuromorphic Camera and Electronics)」に、Raytheon、BAE Systems、Northrop Grummanの3社が参画すると発表した。軍事用の低遅延で低消費電力のイベントカメラとして、捜索や追跡などさまざまな用途を見込んでいる。

イベントカメラ、またはニューロモルフィックカメラは、従来のカメラとは異なる新しいセンサーだ。その仕組みは脳の神経回路から着想を得たもので、変化したピクセルの情報だけを転送し、非同期的に動作する。そのため、データ量が少なく、極低遅延、低消費電力を特徴とする。

しかし、現在のイベントカメラは、複雑な知覚機能を発揮してタスクを制御するほど高度な「知性」は持ち合わせていないという。最新のイベントカメラでも、晴れ渡った青い空を飛ぶ飛行機を追跡するなど、変化が少なくシンプルな画像には対応するが、乱雑でダイナミックなシーンは苦手とするため、軍事用途に利用するには限界があるという。

「カメラから転送された情報量を理知的に削減し、検討するデータを最も関連のあるピクセルだけに絞り込む“賢い”センサーの開発が目標だ」と、FENCEのプログラムマネージャー(PM)であるWhitney Mason氏は語る。開発予定のセンサーには、よりダイナミックなシーンでも活用できるように、低遅延、低消費電力のイベントベースの赤外線(IR)焦点面アレイ(FPA)と、新しいデジタル信号処理(DSP)および学習アルゴリズムを搭載する予定だ。

Raytheonら3社は、低遅延で非同期の読み出し回路(ROIC)と、関連する空間および時間信号を識別するための処理レイヤーを開発することになっている。ROICと処理レイヤーを組み合わせることで、センサーの消費電力は1.5W未満に抑えられるとしている。

FENCEプログラムがもたらす技術は、自動運転車、ロボット工学から、IRを利用した追跡や捜索活動まで、多くの軍事用途への展開が期待できる。さまざまな場面で確実に使えるようにするため、柔軟で適応力のあるシングルソリューションの開発にも重点的に取り組む予定だ。

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DARPA Announces Research Teams to Develop Intelligent Event-Based Imagers

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