- 2021-9-9
- 技術ニュース, 海外ニュース, 電気・電子系
- David Kirtley, FRC(逆転磁場配位), Helion Energy, ゼロカーボン電力, プラズマ加速器, ベースロード電力, 化石燃料, 商用核融合発電所, 核融合
米Helion Energy(Helion)は2021年7月27日、ワシントン州エバレットに初の商用核融合発電所を着工したと発表した。特許技術のプラズマ加速器を利用して、柔軟でスケーラブルなベースロード電力を提供し、ゼロカーボン電力の新時代の創出を目指す。
同社の施設は、核融合を利用してパルス的に直接電気を取り出す方式を採用する。加速器両端のFRC(逆転磁場配位)に閉じ込められたプラズマ状態の燃料(重水素とヘリウム3)が、100万mph(約160万km/h)まで加速されて装置中央で衝突し、1億℃に達して核融合を起こす。ここで生まれたエネルギーによってプラズマが膨張し、変動する磁場から誘導電流が発生する。この電流を電力として回収し、効率的かつ手頃な価格で、家庭や地域に供給するという。
今回の建設に関連して、150以上の高品質で長期的な雇用をエバレットとその周辺地域にもたらすとしている。これは、すでに存在する豊富なSTEM人材を利用し、彼らにより多くの機会を与えようとする同市の取り組みにもマッチしている。起工式には、ワシントン州知事とエバレット市長も参加した。
「同社はこの施設で、核融合の障壁を打ち破り、世界を化石燃料時代の終焉へ推し進めるという目標に近づくだろう」と、Helionの創設者兼CEOであるDavid Kirtley氏は語っている。