- 2023-12-7
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- インバーター, インバーター回路, インバーター装置, コンデンサ, コンバーター, コンバーター回路, スイッチング技術, 交流電流, 半導体, 直流電流
最近は、産業機械だけではなく家電製品においても、インバーターが数多く利用されるようになっています。しかし、インバーターの仕組みやメリットなどに関して、詳しく理解している人は多くないようです。それでは、折角のインバーターの性能も十分に活かすことができませんから、インバーターについて十分に理解するようにしましょう。
目次
インバーターとは
インバーター装置とは、直流電流を交流電流に変換する装置を指します。電力会社から供給される交流電流などを、一度直流電流に変換した後に、再び交流電流に変換する装置です。何度も繰り返し変換を行い、無意味にも思えるかもしれませんが、電力会社から供給される電気は電圧や周波数が決まっているので、それを必要な交流電流に変換するために行っている処理なのです。交流の状態のまま電圧や周波数を変えるのは難しいので、一度直流にしてから必要とする交流電流に変換しています。こうすることで、インバーター装置から出力される交流電流を使って、目的とする機器を的確に制御することが可能となります。
インバーター装置の内部には、直流電流を交流電流に変えるインバーター回路と呼ばれるものも内蔵されていますが、一般的にインバーターと呼ばれるのは、インバーター装置のことを指します。特に家電製品でインバーターという言葉が使われる時は、インバーター装置を利用して性能や機能が向上すること意味する場合がほとんどです。
インバーターはエアコンなどに搭載されていて、コンプレッサやファンを動かす交流モーターの回転速度をコントロールしています。電源を入れてすぐに室内を冷やしたいときはモーターを高速回転し、設定温度になると回転速度を落とすといった的確な制御により、快適な省エネ運転が可能になります。
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インバーターの仕組み
インバーター装置は、コンバーター回路、コンデンサ、インバーター回路から構成されます。最初に、電力会社などから供給される交流電流をコンバーター回路が、直流電流に変換します。電圧や周波数が希望するものとは異なるため、変換しやすいように一旦直流に変換するのです。そして、コンデンサが放電と充電を繰り返し、より安定した状態の直流に整えてからインバーター回路に入力して、所定の電圧や周波数の交流電流に変換します。モーターを動かす時などは、周波数のみ変換するのでは過剰な電流が流れてしまうので、電圧も適切なものに変換しなくてはなりません。
インバーター回路には、複数のスイッチを組み合わせたスイッチング技術が応用されています。インバーター回路に入力された直流電流を、複数のスイッチの組み合わせにより、電流の方向を変えてプラスマイナス両方の電圧を作り出すことで、交流電流を出力する技術です。スイッチング技術は、コンバーター回路にも利用されるようになり、小型軽量化や効率化に欠かせないものとなっています。スイッチング技術を適切に用いることで、直流を交流に、交流を直流に変換することが可能となるのです。
ただし、インバーター装置自体が、ノイズの発生源となることもあります。他の電気機器に影響を与える可能性もあるため、各種ノイズ対策を施すことが必要です。インバーター装置の仕組みや特徴をよく理解しておかないと、十分に活用できないので注意しましょう。
インバーターのメリット
インバーター装置を使用するメリットがよく分かるのが、モーターを動かすために使うケースです。電力会社から供給される電気の電圧は100V、周波数は東日本では50Hz、西日本では60Hzと決まっているため、インバーターを使わずにモーターを動かす時は、モーターの回転数を連続的に変えて制御することはできません。起動と停止のみの制御しかできない状態では、いきなり急スピードで動き出したり急停止したりと荒っぽい動作になり、モーターを利用して動かす対象やモーター自身にも大きな負担がかかります。これでは、繊細な作業に利用することは難しいでしょう。しかし、インバーターを使ってモーターを動かす場合は、周波数を細かく変えて制御することが可能なので、モーターの回転数を少しずつ変更して、負担の少ないスムーズな動作が可能です。効率的な制御を行うことで、消費する電力を削減することもでき、無理な動作がなくなるため、構成する部品の損耗を抑える効果も期待できます。
このような各種メリットは、インバーター装置をモーターに利用する場合だけではなく、他の機器に応用する際にも期待できますから、インバーター装置を利用できるケースでは積極的に活用しようという動きが広がっているのです。
インバーターとコンバーターの違い
インバーター回路とコンバーター回路は、どちらもインバーター装置内で直流と交流の変換するための回路ですが、インバーターは直流を交流に、コンバーターは交流を直流に変換するものです。この役割が違うために、同じ変換をする回路でも構造や使い方は大きく違います。コンバーター回路は、家庭用電源を家電製品に接続する際に用いられるACアダプターの働きに近いものといえるでしょう。
インバーター装置として、交流を任意の周波数/電圧に変換するためには、インバーター回路とコンバーター回路を組み合わせて、使用しなくてはなりません。
このように、インバーター回路とコンバーター回路を組み合わせて使う方法は、産業機械や家電製品などに広く使用されています。効率良く交流を変換するためには、直流と交流を操作する技術を組み合わせて利用するのが一般的な方法です。インバーター回路とコンバーター回路共に、最新の半導体技術が使用されるようになり、効率化と小型化が進んでいます。
【車・発電機etc……】身近なインバーターの使用例
これから本格的な普及が期待される電気自動車には、インバーター装置が使われています。電気自動車はバッテリーで動くために交流電流とは無縁にも思われますが、車を動かすためのモーターは交流電流を使用するので、効率的な動作に欠かせないインバーター装置が必要です。インバーター装置を利用することで、思い通りに車を動かすことが可能となります。
環境に優しい太陽光発電にも、インバーター装置は欠かせません。太陽光発電で用いられる太陽電池は直流電流を作り出しますが、実際に利用する時には交流電流に変換する必要があるためです。
その他に、クレーン、ポンプ、工作機械、コンピューターの電源装置などの産業分野においても、インバーター装置は極めて重要なものとなっています。
日常生活で使われるエアコン、蛍光灯、電磁調理器(IH調理器)など多数の家電製品にも、インバーター装置は使用されています。
エアコンにインバーター装置が応用されることで細かい温度調節が可能となり、室内を快適な温度に保つだけではなく、効率的に電気を使って電気消費量を抑えるのにも役立ちます。蛍光灯にインバーター装置に使用することで、単にスイッチをオンオフするだけではなく、段階的に明るさを設定するなどして、より過ごし易い環境を提供してくれます。IH調理器では、加熱用コイルに高周波の電流を流す必要があり、日本で使われている50Hz/60Hzの電気をインバーターによって数万Hzの電流に変換しています。
インバーターに関する仕事の特徴
インバーターに関する仕事は、大きくは開発職と技術職の2つに分けられます。
開発職は製品化するまでの具体的なプロセスを描き、検証することが仕事で、設計や仕様の決定、構成部品の選定などが含まれます。技術職は、開発職が作成した図面や仕様書に基づき、正確に製品を生産するための設備の導入と運用、管理が仕事になります。
開発職には電気回路やモーターの知識は必須で、制御ソフトウェアの開発担当者であればプログラミングスキルも必要になります。また、インバーターの構成部品を選定する段階で仕入先とのやりとりが多く発生するため、製品を正確かつ効率よく生産する設備を設計するためには、技術職との連携も欠かせません。社内外の担当者との密なコミュニケーションが求められ、専門知識だけでなく折衝スキルも必要になります。
近年ではEV(電気自動車)シフトが加速しており、インバーターがEVの性能に大きく影響を与えることから、EV向けインバーターの開発競争が激しくなっています。開発職での経験を積み、最先端技術を習得することで、転職市場における付加価値向上が期待できます。
技術職においても、高度な専門知識は必須となり、数学、工学、情報工学などの知識を持つ理系出身者が多く活躍しています。インバーターの生産体制を整えるのが主な仕事で、コスト効率に優れ、品質管理がしやすい生産体制を構築するためには、開発職との連携が必要になります。近年ではDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に伴い、スマートファクトリーやデジタルツインといった最新技術に精通したエンジニア人材の需要が高まっています。
インバーターに関する求人への転職なら「メイテックネクスト」
<メイテックネクスト 東京支社長の梅津太一氏のコメント>
EVやロボット、太陽光発電といった蓄電システムのキーデバイスと言えば、インバーターが挙げられます。世界では、新興国を中心に電力消費量が爆発的に増える一方、石油など電気をつくる資源の確保は難しくなってきており、かつてない深刻な電力不足が課題となっています。中でもモーターによる電力消費量は、世界で使用される全電力量の40%~50%、日本では約55%(※)を占めると言われており、電力不足の解消には、より効率の高いモーターの普及が不可欠なため、インバーター、及びインバーター制御技術が注目されています。
ロボットやAI技術が普及しても、エネルギー課題の解決はできず、インバーターはモーターの低消費電力化のキーデバイスであり、サステナブルな社会の実現に欠かせない技術なのです。
(※)出典:一般社団法人日本電機工業会 「トップランナーモータ」
インバーターの制御技術は、EVの性能向上にも欠かせない技術で、加速性能、高トルク出力、走行距離拡大の性能向上に加え、快適な乗り心地の実現にも対応しています。インホイールモーターの開発も世界中で進んでおり、将来的には自動車のタイヤそれぞれにインバーター+モーターが組み込まれ、独立制御ができる時代も早々に訪れそうです。重電業界、産業装置、医療装置でも高性能インバーターの活用は求められており、エアコンなどの空調製品も含め、「トップランナー制度」による省エネ基準が導入されており、エネルギー消費効率の目標の達成が促されています。
メイテックネクスト独自の見解となりますが、現在インバーターの経験をお持ちのエンジニアの皆様は、世界共通の課題である「環境負荷低減」において、最も力を発揮する方々だとお見受け致します。
・付加価値技術=インバーターでカーボンニュートラルを実現する。
・付加価値技術=インバーターでエネルギー消費の少ない自動運転を実現する。
インバーター領域の経験者も、これからインバーターに携わりたい方も、転職のご相談はぜひメイテックネクストにご依頼ください。
まとめ
今ではインバーター装置は、さまざまな場面において欠かせないものとなっています。重要な役割を担いつつも、目立たない存在のために忘れてしまいがちですが、仕組みやメリットなどを理解して十分に活用できるようにしましょう。家電製品を選ぶ際にも、使用されているインバーター装置の内容をよく調べておくことが大切です。今後、さらに性能を向上させた装置が登場する可能性が高いので、新しい情報にも目を配り最適な選択ができる準備をしておく必要があります。