- 2021-12-14
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- Amsterdam Institute for Advanced Metropolitan Solutions(AMS Institute), Fabio Duarte, GPS, LiDAR, QRコード, Roboat, コンピュータービジョン, マサチューセッツ工科大学(MIT), ラッチ機構, 学術, 自動運転ボート
アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)とオランダのAmsterdam Institute for Advanced Metropolitan Solutions(AMS Institute)が共同で開発している自動運転ボート「Roboat」プロジェクトはついに最終章を迎えた。2015年に試作機をMITのプールで実験して以来、1/4スケール、1/2スケールと開発を重ねてきたが、2021年10月28日についにフルスケールで完全自律のボートがアムステルダムの運河に登場した。
最新のRoboatは、大きさ4000×2000mmのアルミニウム製で、黒とグレーの船体にオレンジのロゴがあしらわれている。向かい合った座席配置で、5人まで乗船可能、乗組員は不要だ。船体はベース部分を共通化したユニバーサルデザインで、トップ部分は用途に応じて交換できるという。バッテリーで最大10時間航行するほか、ワイヤレス充電にも対応する。
混雑した水路をスムーズに航行するためには、正しい運行指示、認識能力、制御ソフトウェアの緻密な融合が必要だ。RoboatはGPS、LiDAR、コンピュータービジョンを搭載し、周囲をスキャンしながら障害物を避けられる安全なルートを決定する。もし、システムに登録されていない物が映り込んだ場合、いったん「不明」と分類され、後で人がデータを確認して「カヌー」などタグ付けしていく。
ラッチ機構も特長のひとつだ。Roboatに搭載したカメラがほかのRoboatやドッキングステーションのQRコードを読み取り、ボート側面のロボットアームがしっかりと相手を掴んで、機械式ブレーキがアームをロックする。今回、ラッチ機構の近接モードや、自動船位保持装置の改良など新機能を搭載したことで、実際の水路へ展開できるようになったという。互いに連結することで、離着岸動作だけでなく、仮設の浮橋などインフラとしも利用可能だ。
「Roboatは船長がいなくても年中無休で運用できるため、都市に大きな付加価値を与えるだろう。ただし安全上の理由から、レベルAの自律性に達することが望ましいかは疑問だ」と、Fabio Duarte主任研究員は語る。スムーズに運用するため、オペーレーターを制御センターに配置し、1人当たり50隻以上のボートを監視することを想定している。
次のステップは、試験運用と商用化に向けた取り組みだ。運河が細かく張り巡らされたアムステルダムの歴史地区は、モビリティやロジスティクスに課題を抱えているため、導入には最適だと研究チームは語る。人の輸送、物の運搬、ごみの収集、臨時の橋やステージの設営などの利用を見込んでいる。
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