今からできる景気後退への備え――「キャリアクッショニング」のすすめ

新型コロナウイルスのパンデミックからの急回復から一転、アメリカでは長引くインフレとそれに伴う金融引き締めから、リセッション(景気後退)への不安感が高まっている。ビジネス系SNSのLinkedInでは、リセッションに関する会話が2022年は前年比で900%増加したという。

多くの人が心配しているのが雇用の問題だ。米Clarify Capitalの調査によると、66%の回答者はリセッションが企業のレイオフを引き起こすと考えており、81%は自分がレイオフされるのではと懸念している。レイオフに対応しきれないと考えている人の割合は37%だった。管理職への調査では61%が潜在的なリセッションが雇用に影響すると回答。産業別にみるとリセッションへの懸念はビジネス/情報が66%と最も高く、次いで金融/保険が61%、教育が58%だった。2022年後半に入ってからAmazonやMetaでの大規模なレイオフが発表されたこともあり、明日は我が身、と心配している人も少なくなさそうだ。

雇用継続への不安感が高まる中、新しいトレンドとなっているのが「キャリアクッショニング」という考え方だ。LinkedInのキャリア専門家であるCatherine Fisherによると、キャリアクッショニングとは経済や雇用市場の変化に備え、選択肢を確保するために行動を起こすことだという。その名の通り、いわば自らのキャリアに予期せぬ事態が起こった際の緩衝材=保険のようなものだ。

では具体的に何をするのかだが、フィッシャー氏は第一にスキルの整理や拡充をあげている。現在の自分のスキルと希望する役職に必要なスキルの一覧を作り、そのギャップを埋めるため新しいスキルを身につけること。すでに持っているスキルに関しては、どうすれば活かせるのかを検討すること。コミュニケーション能力などのスキルも忘れてはならない。

第二にネットワーク(人脈)の育成だ。従業員に友人や知人を紹介してもらうリファラル採用が日本でも注目されているが、雇用のチャンスはどこから生まれるかわからない。日常的に同僚や知人とコミュニケーションを取り、人脈を開拓/育成しておくことが重要だ。最後にフィッシャー氏は、将来に不安がある時でも前進に向けた計画を立てておくべきだとしている。

キャリアクッショニングは、すぐに転職を考えていない人でも取り入れることができる。終身雇用や年功序列を見直す企業が増加し、働き方が大きく変化し始めている日本でも、今後広まっていくかもしれない。

関連情報

Career Cushioning: What it is and how to get the most out of it
Recession Fatigue at the Office | Clarify Capital

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