無給電で動作するファブリック型タッチ/圧力センサを開発 京都工芸繊維大

京都工芸繊維大学は2023年1月19日、無給電で人の手の接触や圧力を感知するファブリック型タッチ/圧力センサを開発したと発表した。全体が糸だけでできているため手触りも良く、自動運転車などのハンドル用として活用が期待できる。

同大学の研究グループはこれまで、糸のみを用いて1回で編みあげることが可能な静電容量方式のスペーサーファブリック型圧力センサを開発している。今回は同じ構造を使い、異なる動作システムのセンサを開発した。

新たなセンサは、ダブルベッドの横編み機によって1回で編みあげた5層構造のスペーサーファブリック構造で、表面と裏面のそれぞれの2層は、編み機の表裏のベッドで編まれる2層の編み構造となっている。中間層のスペーサー層のモノフィラメントは、表面と裏面それぞれの2層の編み物をつなぎスペースを形成。絶縁性の綿糸が導電性の銀メッキ糸の前面に出るようにプレーティングすることで、表裏それぞれの最表面に絶縁性糸層が現れ、内側に導電性糸層が現れる。

編みあげたセンサのシートを約20×20mmのサイズにカットし特性を評価したところ、平均重量は約0.50gと軽量で、材料費も約89円と安価に見積もれた。

また、センサをダイオードブリッジとキャパシタからなる電気回路に接続し、人の指でセンサの表面に触れたときと、さらに押し込んだときの電圧を測定したところ、指が触れると出力電圧が大きく増加。さらに押し込むと出力電圧が増加することが分かった。無給電状態で電圧出力が得られる理由について研究グループは、環境中の電磁波によって体内で静電誘導が生じ、さらにスペーサーファブリックの導電糸層で静電誘導が生じると考えている。

近年、自動運転技術の開発が進められているが、人による運転と自動運転の切り替えでは、運転手がハンドルを握ったかどうかの感知が重要になる。今回開発されたセンサは無給電で感知が可能なうえ、糸を編みあげているため、軽量で通気性がよく洗濯もできる。研究グループは既に特許を出願し、自動車ハンドル用のセンサとしての活用に期待を寄せている。

今回の研究成果は2023年1月18日、科学誌 Smart Materials and Structuresに掲載された。

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繊維学系 石井佑弥准教授とYu Annie助教らは、無給電動作可能なファブリック型タッチ/圧力センサを開発しました | 京都工芸繊維大学

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