ビデオゲームは児童の認知能力に影響しない――米大学の研究で明らかに

イリノイ州立大学、ウィスコンシン大学マディソン校、ヒューストン大学は共同で、ビデオゲームが子どもの認知能力に与える影響についての研究結果を発表した。子どもに対するゲームの悪影響について心配する親は少なくないが、研究結果は意外にも、ビデオゲームと子どもの認知能力には相関関係がないことを示した。

今回の共同研究では、公立学校に通うプレティーンの子どもたち(主に9~11歳)160人のゲーム習慣を調査。認知能力の評価では、従来の研究で使用されてきた教師による成績評価や自己申告による学習評価ではなく、標準化された認知能力テストとして知られるCogAT(Cognitive Ability Test)を使用した。

調査対象の子どもたちは平均で1日あたり2.5時間、最も長いグループでは4.5時間ビデオゲームをプレイしていたが、CogATにおける言語的、数量的、非言語的/空間的スキルとの間に有意な相関関係は見られなかった。また、プレイするゲームの種類もテスト結果には影響しなかったという。

これは子どものゲーム好きに悩む親たちにとっては朗報かもしれない。ただ、ひとつ残念な結果がある。それは、知育向けとされるゲームも、認知能力に影響を及ぼさなかったことだ。「ヤングアダルト層では認知機能を高めるとされるゲームプレイが、幼い子どもでは効果が見られないという、これまでの研究結果と一致した」と、ウィスコンシン大学マディソン校のC. Shawn Green教授は話す。

また、プレイ時間が最も長いグループにおいて、ビデオゲームは宿題など他の生産性のある活動から子どもたちを遠ざけた。心理学の世界で置き換え(displacement)と呼ばれるものだ。しかし、このようなケースであっても、CogATでの差異はわずかだったという。

この研究結果について、ヒューストン大学のJie Zhang教授は「小学校5年生までのビデオゲームによる認知機能の低下について、親があまり心配する必要はないということを示している」と述べ、過度な心配からの強迫観念的な行動には気を付けるべきであり、幼少期の発達のバランスをとることが重要だと指摘している。

関連情報

Study Finds Video Game Playing Causes No Harm to Young Children’s Cognitive Abilities – University of Houston

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