TOYO TIREは2023年5月9日、富山大学との共同研究で、二酸化炭素から高収率でブタジエンへ変換する触媒を開発し、タイヤの主原料であるブタジエンゴムを合成したと発表した。
タイヤの品種で割合が異なるが、自動車タイヤの原材料は、天然ゴム以外の約4割を占める合成ゴムのうち、その約3割を石油由来原料のブタジエン系ゴム(SBR、BR)が占める。同社は、このブタジエンゴムの生成に、二酸化炭素そのものを石油由来の原料から代替適用できないかという課題をテーマに、2016年から富山大学と共同研究をしている。
今回、ブタジエンを二酸化炭素から合成する道筋をつけることに成功。これは、従来の石油由来原料を用いた場合に比べ、生成過程での環境負荷(二酸化炭素排出量)の極小化に大きな成果が得られると考えられる。また、ブタジエンゴムへ重合するための出発原料に、二酸化炭素を採用することで、将来的に実際のタイヤLCA(Life Cycle Assessment)の観点で直接的に有効、かつ有力な素材として活用の可能性が期待できる。
今回の成果は、高価な貴金属を使わない安価な固体触媒の開発で、十分な触媒性能が得られた。その収率は、世界最高レベルとなる。今後、量産化に向けた触媒システムの開発を進め、2020年代末までに実用化を目指す。また、寄与率の大きなゴムや補強剤をサステナブル素材へ置き換えるための研究を進めていく。
関連情報
二酸化炭素を原料としたブタジエンゴムの合成に成功 | プレスリリース | TOYO TIRES(トーヨータイヤ)企業サイト