日立造船、耐久性や安全性に優れる「全固体リチウムイオン二次電池」を開発

日立造船は2016年2月18日、硫化物系固体電解質を使用した「全固体リチウムイオン二次電池」を開発した。同リチウムイオン電池は、電解液系リチウムイオン二次電池と同等の性能を発揮する。

従来の全固体リチウムイオン二次電池は、固体電解質の材料粒子間のイオン伝導性を保持するために、機械的に圧力を加えた状態で充放電を行う必要があった。だが、日立造船の全固体リチウムイオン二次電池は、独自の薄層成膜と加圧成型技術で材料粒子間のイオン伝導性を向上しており、機械的加圧なしでの充放電が可能だ。

電池本体部分の厚さが約0.3mmと薄い。また、電解質が固体で流動性がないため、電池の複層化が可能となる。

温度への影響を評価したところ、摂氏−40℃から+100℃での充放電が確認できている。また、室温で充放電のサイクルテストを実施したところ、100回で容量維持率98%、400回で容量維持率96%を実現。理論的には、一般的な使用の下で90%以上の容量維持率を約7年間保てるという。

日立造船の全固体リチウムイオン二次電池は、電気自動車、滅菌過熱が必要な医療機器の電源、長寿命を要する定置向け蓄電池、宇宙や深海など極限環境下で使う機器を、主な用途とする。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙探査イノベーションハブの取り組みにおける平成27年度研究提案募集の中で、同リチウムイオン電池は「革新的蓄電池技術の実現」案件に採択された。

日立造船はすでに、100×100×0.3mm(電池パッケージを含まず)の薄膜電池を試作。電池の評価については、本田技術研究所をはじめ、複数の企業から協力を得ている。今後、製品化に向けて生産設備を整え、2017年度中のサンプル提供開始を目指すとしている。

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