アナログ回路設計に大事なのは、人の“感性”――トレックス・セミコンダクター 大久保誠寛氏

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設計から量産までに携わった経験が、回路設計をより良くする

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――エンジニアとして働いていて、今の職場についてどう感じますか?

大手のメーカーで働いていたら、例えば回路設計の担当になったら回路設計ばかりを仕事にしていたでしょう。レイアウトならレイアウトだけ、評価なら評価と、ずっと同じ仕事が続いていたはずです。

先ほども言いましたが、当社は企画から量産立ち上げまで、1人のエンジニアがすべての過程に関わります。営業も兼ねてお客様のところに出向き、パッケージや、アセンブリ、プロセスに関する要望など、さまざまな情報を仕入れられるので、回路設計を考える上で本当に役に立っています。

全体が見えるからこそ、回路設計が良くなっている面は間違いなくありますね。設計から量産まで一貫して携われるところは若いエンジニアにとってみれば非常にメリットがあると思います。

多分、若いうちは浅くても幅広い経験を積んでおいた方が、エンジニアとしての引き出しが多くなることでしょう。「入社してずっと設計」というキャリアを歩んでいると自分の可能性を狭めてしまうので、私はこの会社でエンジニアとしてのキャリアを歩めて本当に良かったと感じています。

アメリカの研究拠点へ赴任。優れたエンジニアたちから技術を学びたい

――エンジニアとして成長していくため、普段からどのようなところに気を配っていますか?

大学の研究室で同期だった仲間たちの多くが、同じような分野の仕事をしています。そういった仲間たちと「こういう技術がこれから伸びそうだから取り組んでいる」といった話をして情報を仕入れたり、関連する専門メディアの記事を読んだりするなど、世の中の動向について意識するようにしています。

エンジニアとしての自分の将来は、今の延長線上にあると考えています。今取り組んでいることはもちろん、近しい分野のちょっとレベルの高い技術にも挑戦して、1つずつ着実に自分のものにしていきたいです。自分が何も知らないと後輩に教えられないので、幅広く知識を広げていきたいと考えています。

今年4月からはアメリカのシリコンバレーにある当社の研究拠点に赴任するので、自分の知識の幅を広げる上で、いい経験になると考えています。

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――アメリカ赴任の話が来たときはどう思いましたか。

「今、断ったら次にチャンスはない」と思ったので即決しました。現状、普段の業務になれてきてしまっていました。アメリカの仕事には刺激があり、技術的な成長を期待できると思いました。

最先端の技術を持っている人たちが多数いるところなので、そういう優れたエンジニアたちから技術を学んで、アメリカの開発拠点だからこそできることにチャレンジしてみたいですね。

携わる製品の進捗具合にはよりますが、赴任期間は大体3年が目処になるとは言われています。当然、結果も求められるので、3年で結果を出せるか不安に感じる面はありますが、最新の技術を扱っている会社と協業して製品を立ち上げ、当社の次世代を担う主力製品を開発できれば最高ですね。

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