IHIは2017年6月28日、防衛装備庁から受注し研究試作を行っていた、将来の戦闘機用を目指した推力15トン級ジェットエンジンの主要部分を、防衛装備庁に納入したと発表した。
今回納入したのは「コアエンジン」と呼ばれる、エンジンの中心部となる自立運転可能なユニットだ。圧縮機、燃焼器、高圧タービンから構成され、ジェットエンジンの性能を決定する重要な部分だ。世界トップクラスという最大約1800℃の高圧タービン平均入口温度を目標性能としている。
IHIは、将来の戦闘機用エンジン実現のための試作研究として、2010年度に防衛装備庁より「次世代エンジン主要構成要素の研究試作」を受注。流体のコンピューターシミュレーション技術や金属材料、セラミック基複合材(CMC)、冷却技術、電子制御技術、ステルス技術などの日本の技術を採用した戦闘機用エンジンを提案し、また圧縮機、燃焼器、高圧タービンを試作し、目標性能を満足することを確認した。
続いて2013年度に「戦闘機用エンジン要素の研究試作」を受注してコアエンジンの設計製造を進め、今回の納入となったものだ。今後、7月より防衛装備庁において所内試験を開始し、その性能を確認していく。
さらにIHIでは、2015年度に「戦闘機用エンジンシステムの研究試作」を受注。国内企業の協力も得て、コアエンジンをベースとして前部にファン、後部に低圧タービン、アフターバーナーと排気ノズルを装着した戦闘機用エンジンのプロトタイプ(XF9-1)の設計製造も進めている。防衛装備庁では、2018年6月までに同エンジンを試作し、その性能を確認する計画だ。