金属の表面温度を非接触で正確に計測する技術を開発 赤外線反射の影響を除去

日本アビオニクスは2017年7月19日、赤外線の反射の影響を除去し、低放射率の物体の温度分布を正確に計測する技術を世界で初めて(同社調べ)開発、プロトモデルの販売ならびに同技術による特注製品の開発請負を開始したと発表した。従来の赤外線サーモグラフィーカメラでは困難とされてきた、金属の表面温度を非接触で正確に計測できる技術で、特許も出願中だ。

赤外線サーモグラフィーは、物体が放射する赤外線を検出し、その放射強度を映像化すると同時に温度値に変換する。しかし一般的な赤外線サーモグラフィの測定波長では、測定対象の表面に、周囲の物体(周囲環境)から放射された赤外線が反射し、これが外乱となって測定精度が劣化する。特に金属など放射率が低い物体ほど表面反射が強くなり、正確に温度計測できないという問題があった。

今回開発された技術では、常温である周囲環境からはほとんど放射されず、測定対象だけから放射される赤外線波長帯を利用して、外乱の影響を受けることなく温度計測できる。これにより、これまで熱電対などの温度計により接触かつ点でしか行えなかった金属等の温度計測を、非接触かつ温度分布として測定できる。例えば、アルミニウムの場合、200℃以上の温度を±4%の精度で計測できるという。

しかし、この波長帯では測定対象から放射される赤外線強度が小さく、S/Nが低い。同社では、サーモカメラ開発で培った温度計測に関わるノウハウを活用し、低S/N下でも対象物が放射している赤外線強度を精度よく判別する技術を開発。低放射率物体の温度計測を実現した。

今回の技術の活用により、金型の温度分布を高精度に測定して複雑な形状の樹脂加工を実現でき、自動車ボディの樹脂化による軽量化などに貢献することができる。また、金属複合材料の高精度な温度分布計測が可能となることで、ロボットの小型化/軽量化や、2次電池用の材料研究加速によって電池の高寿命化にも貢献できるとしている。

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