充電要らずで通話できる携帯電話、試作品で通話に成功

Mark Stone/University of Washington

バッテリーの充電がゼロになって携帯電話が使えなくなる――誰もが1度は経験したことがありそうな事態を減らそうとワシントン大学のShyam Gollakota準教授らのグループが研究を進めている。

同研究チームは2017年7月5日、充電が要らない携帯電話の試作品を開発し、通話に成功したと発表した。

試作品はプリント基板に市販部品を搭載した非常にシンプルなモデルで、通話のみが可能だ。この携帯電話は数μWの電力で駆動し、その電力を周囲のRF信号と太陽電池から確保する。スマートフォンの通話にはコンマ数Wの電力が必要と言われるので、10万分の1程度の電力で通話できることになる。

Mark Stone/University of Washington

スマートフォンの通話では、アナログ信号をデジタル信号に変換しているために非常に多くの電力を消費してしまう。そこで研究グループは、通話時に携帯電話端末のマイクやスピーカーで発生する微小な振動を利用。端末に取り付けたアンテナでアナログ無線信号を送受信することで通話を成立できるようにして消費電力を極力抑えた。現時点では、この無線信号の送受信には、専用の基地局を利用している。

RF信号のみで電力を得た場合には、基地局からの距離が約9.4m離れていても通話が可能。試作品に搭載した米粒ほどの太陽電池を使って通話した場合には、約15m離れたところとの通話に成功した。

同研究チームは将来的には、Wi-Fiルーターや現在使われている携帯電話の基地局を使って通話できるようにしていきたい考えだ。

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