分子レベルで分解し、何度でもリサイクルできる新プラスチック「PDK」

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Credit: iStock/Mukhina1

米国エネルギー省(DOE)所管であるローレンスバークレー国立研究所の研究チームは、プラスチックごみによる海洋汚染の解決に一石を投じる新しい材料を発表した。「PDK(poly(diketoenamine)、ポリジケトンアミン)」と呼ばれる新しいプラスチックは、強酸に浸すことで分子レベルで分解が進み、添加物との分離も容易なため、何度でもリサイクルやアップサイクルが可能になるという。研究成果は、2019年4月22日付けの『Nature Chemistry』に掲載されている。

プラスチックは丈夫で軽量、我々の生活には欠かせない。しかし、資源ごみとして回収されるPETですら、その再利用率は20~30%にとどまり、残りは焼却もしくは埋め立てられている。プラスチックは分解するのに何世紀もかかるうえ、近年、海洋汚染の原因としても問題視されている。

リサイクル率の低さは、再生プラスチックの品質にも原因があるという。多くのプラスチックは、モノマーを結合させたポリマーからなるが、強度・柔軟性・色といった特性を持たせるため、化学物質を添加している。プラスチックを再生する場合、それら添加物が混入することで再生ポリマーの品質は低下してしまう。しかし、分別にはコストがかかる。

研究チームは、ジケトンアミンの動的共有結合に着目。通常のプラスチックと異なり、PDKプラスチックは高濃度の酸性溶液に浸すだけで、モノマーの回収と添加物の除去ができることを発見した。コストやエネルギーが削減できるだけでなく、副産物が水だけという点にも注目したい。

論文の筆頭著者でもあるポスドクのPeter Christensen氏は当初、PDK接着剤を作製していたが、酸を添加した際に接着剤の組成が変化したことに気がついた。NMR(核磁気共鳴)分光法を使った分子構造の解析、さらに詳細な解析の結果、酸はPDKポリマーを元のモノマーに分解するだけでなく、添加物とモノマーを分離することも明らかにした。

そして、回収したPDKモノマーから再度ポリマーが作れること、新しく添加物を入れることで再生前とは別の材料に生まれ変わることができることを示した。例えば、壊れて廃棄したプラスチックのバケツが、フレキシブルキーボードとして市場に出回る。つまり、循環型またはアップサイクル可能なプラスチックの作製が期待できる。

「我々は、ごみ問題について考える重要な時期を迎えている。PDKを使えば、プラスチックの再利用をより効率よく進めることができる」と、研究チームを率いるBrett Helms主任研究員は語る。今後は、PDKに植物由来の材料を組み込んだり、3Dプリントなど様々なアプリケーションに応用したいと考えている。

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