風力発電がグリーンエネルギーの主役に?――今後の低コスト化と効率化を予見する2つのレポート

アメリカの風力発電のコストに関するレポートを、米エネルギー省エネルギー効率・再生可能エネルギー局(EERE)と、米国立再生可能エネルギー研究所(NREL)が公表している。興味深いことに、それぞれ異なる視点のレポートだが、再生可能エネルギーとしての風力発電の発展性とコスト低下の可能性という同じ結論に言及している。

まずEEREは、風力発電市場に関するレポート「2016 Wind Technologies Market Report」の中で、USの風力発電容量は2016年に約8000メガワット増加し、累計82ギガワットに達し、増加の原動力は生産税控除(PTC:Production Tax Credit)による優遇措置などの施策と、電力販売契約(PPA:Power Purchase Agreement)だとしている。なおPPAは、電力需要家の敷地に事業者が自らの発電設備を設置し、そこで発電した電力を販売するモデルで、太陽光発電でも利用されている。

レポートは、風力発電のPPA価格はすでに低いが、発電量の増加によりコストは更に低下を続け、将来的に天然ガスの半分になると予測している。また、2016年単年度で140億ドルもの新規投資がなされており、この規模の投資が続けば風力発電コストがさらに低下し、あと数年でさらに大きな競争力を得ると予測している。

そしてNRELは、風力発電施設の技術に関するレポート「Enabling the SMART Wind Power Plant of the Future Through Science-Based Innovation」の中で、A2e(Atmosphere to electrons)という手法を使った「SMART風力発電施設」という概念を打ち出している。

ここでA2eとは、最新の気象観測機器、風の流れのビッグデーターを元に、スーパーコンピューターを駆使して精密なモデリングを行い、個々の風力タービンではなく、風力発電施設全体を最適化するものだ。

SMARTは、A2eによって最適化された理想的な風力発電施設を建設することと、風力タービンの更なる大型化を含む技術革新によって、2030年までに風力発電のコストを半減することを目標としている。

関連リンク

2016 Wind Technologies Market Report
Science-Driven Innovation Can Reduce Wind Energy Costs by 50% by 2030

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