東北大、光で電子スピンの方向を変えて磁石の性質を消失させる原理を解明

光をあてることで平行なスピン配列を反平行に変える

東北大学は2017年11月14日、磁石に光をあてることで、電子スピンの配列を反平行に変え磁石の性質を消失させる原理を解明したと発表した。

磁石は電子スピンが同方向に配列することでその性質が現れる。電子スピンをエレクトロニクスに利用するスピントロニクス研究では、この電子スピンを効率良くスピーディーに操作することが、多くの情報を高速に取り扱うために必要であり、その原理を明らかにすることが求められていた。

従来の研究で、反平行から平行にする機構は解明されていたが、今回その反対の平行から反平行に操作できる原理を解明。電子スピンがすべて同じ向きに揃った金属に強い光を当てると、互いに逆向きになり、瞬時に磁石としての性質を失うことを理論計算シミュレーションによって示すことに成功した。

また、この現象が約100~1000フェムト秒(約10兆分の1秒から1兆分の1秒)の超高速で発生すること、さらにスピン配列のトポロジー(位相幾何学的に同等とみなされる形状)が重要な役割を果たしていることを、同じく計算により明らかにした。

今回の研究により、反平行から平行への操作原理と平行から反平行への操作原理の双方が明らかになり、両者の併用によりスピン配列の双方向への高速操作が可能となることが期待される。また、同原理によって、スピントロニクスにおける超高速スイッチを利用したデバイス設計への指針が与えられることが期待されるという。

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