三菱マテリアル、LEDヘッドライト向けヒートシンク一体型基板モジュールを開発

CSPを実装したAlヒートシンク一体型基板モジュール

三菱マテリアルは2017年11月14日、DBA基板とアルミニウム(Al)ヒートシンクを直接接合することにより、放熱性能が大きく向上した自動車用LEDヘッドライト向けAlヒートシンク一体型基板モジュールを開発し、サンプル提供を開始したと発表した。

近年、眩惑防止や視認性向上のため自動車用LEDヘッドライトの配光制御システムが登場している。LEDチップごとにオンオフを切り替えて多様な点灯モードを実現し、より細やかな配光制御を可能とするために、LEDチップの微細化と高密度な配列が求められる。そのため、LEDヘッドライトモジュールの放熱性能の向上が課題となっている。

今回の新製品では、放熱回路基板として窒化アルミニウム(AIN)をベースとしたDBA基板(アルミ回路付き高放熱セラミックス絶縁基板)を使用している。従来LEDヘッドライトモジュールではAINを基材としたCSP(Chip Scale Package:超小型の集積回路パッケージ)を使用しており、CSP自体はほぼAlNと同じ熱膨張係数だった。一方、CSPをはんだ付けする基板には、従来は金属(通常、銅)をベース材としたMCPCB基板を使用しており、その熱膨張係数はベース材の金属とほぼ同じだった。

従来のこの構造では、CSPとMCPCB基板の熱膨張の差が大きく、発光時の発熱の繰り返しでCSPとMCPCB基板の間のはんだにクラックが発生しやすくなっていた。今回DBA基板を使用することで、CSPと回路基板の熱膨張の差を抑制し、温度サイクルに対する信頼性を大きく改善した。

CSPを実装したAlヒートシンク一体型基板モジュールの断面構造

さらに、DBA基板とAlヒートシンクの接合に使われてきた伝熱グリースを排し、ロウ付けによって直接接合して一体型としたことで、既存品と比べ熱抵抗を50%低減している。これによりDBA基板は、CSPを実装したモジュールにおいて放熱性能が一層向上し、温度ストレスによるはんだクラックを大きく抑制することが可能となっている。

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