2千時間の連続運転後も効率の95%を維持する、高効率ペロブスカイト太陽電池を開発

Credit: City University of Hong Kong

香港城市大学(CityUHK)とアメリカ国立再生可能エネルギー研究所の共同研究チームが、ペロブスカイト太陽電池の安定性と信頼性、効率を向上させ、商用化への可能性を高める製造技術を開発した。同研究成果は2024年10月10日、『Science』誌に掲載された。

同研究では、ホール選択的材料とペロブスカイト層の統合により製造工程が簡素化された。また、電子輸送層には、フラーレンやBCPといった従来の有機材料の代わりに、熱安定性に優れた酸化スズが使用された。原子層堆積法により成長した酸化スズ層は、デバイスの動作安定性を大幅に向上した。

同デバイスは、現在のペロブスカイト太陽電池の分野で最も単純な構造をとり、産業化に大きなメリットをもたらすという。従来の有機転写層を必要としないため、製造費を削減し、製造工程を大幅に簡素化できる。

研究チームは、酸化スズ層内の酸素欠陥を最適化し、25%を超える電力変換効率を達成した。さらに、厳しい試験条件下で2千時間の連続運転後も、効率は95%以上を維持した。この性能は、従来のペロブスカイト太陽電池の安定性を上回り、長寿命に関するいくつかの業界評価基準を満たしている。

CityUHKのZhu Zonglong教授は、「今後5年以内に太陽エネルギーシステムに導入される可能性を持つ本研究は、持続可能で環境に優しいエネルギー生産を世界的に達成するための重要な一歩です」と説明した。研究チームは今後、同デバイス構造をより大型のペロブスカイト太陽電池モジュールに適用させることに焦点を当て、同技術の効率と拡張性のさらなる向上を目指す。

関連情報

Streamlining solar cell structure and fabrication for more affordable energy | EurekAlert

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