大阪府立大と東大、乱れを意図的に導入した分子の設計によって量子スピン液体を実現

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ランダムシングレットの概念図

大阪府立大学と東京大学は2017年11月23日、新しいタイプの錯体化合物を合成して磁気ネットワークに乱れを導入することで、量子スピン液体状態を実現したと発表した。

量子スピン液体は、磁性体の磁性を担っている電子スピンが絶対零度でも凍結しない状態で、絶対零度にまで冷やした水が氷にならないことに例えられる。その状態は当初、スピンが時間的にも空間的にも揺らぐことで形成していると考えられてきた。しかし、最近の研究で、ランダムシングレット状態と呼ばれる偶発的に乱れによって作られるスピンのペアが、量子スピン液体の本質である可能性が指摘されていた。

そこで研究グループは、有機ラジカルを金属原子に配位させた分子性の金属錯体を合成。意図的に乱れを導入した物質で量子スピン液体が実現できるかを検証した。その金属錯体には、2種類の異性体が存在するため、結晶中では2種類の分子がランダムに配列。磁気ネットワークの結合の強さに乱れが生じる。そして、低温では、磁化率、磁化曲線、比熱の全ての実験結果で、量子スピン液体的な振る舞いを再現した。

開発した錯体分子の分子構造

研究グループは、この成果により、乱れを取り込んだ量子磁性体のデザインが可能であることが実証され、量子物性を取り込んだ磁性材料の開発に新たな道を拓いたとしている。

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