- 2018-2-20
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- ASIC(特定用途向け集積回路), Samsung Electronics, TSMC, ファウンドリー(半導体製造事業者), マイニング(採掘), 仮想通貨(cryptocurrency)
韓国の半導体大手Samsung Electronicsが、仮想通貨(cryptocurrency)のマイニング用ASIC(特定用途向け集積回路)の生産を開始したことが明らかになった。韓国メディアThe Bellの伝えるところによると、Samsung Electronicsは2018年1月初めに中国企業向けにマイニング用ASICの量産体制に入ったという。企業名は明かされていない。
仮想通貨の世界では通貨の取引を一定時間ごとに実施する必要があり、その処理を行った協力者に対して報酬を支払う仕組みがある。ビットコインでは通貨の新規発行はすべてこの報酬として行われることからマイニング(採掘)と呼ばれている。
マイニングレースといわれる仮想通貨の報酬を目的とした計算処理競争で勝利するためには高速なプロセッサーが必要となるが、マイニングマシン用には一般的なCPUよりも数値演算能力の高いグラフィックボードのGPUが適しているとされ、市場では高性能グラフィックボードの買い占めによる品不足と価格高騰が問題になっている。また、GPUではなくマイニング用に開発された専用ASICの使用も主流になってきた。
このマイニングブームとも呼べる状況は、マイニング用ASICを生産する台湾のTSMCのようなファウンドリー(半導体製造事業者)に利益をもたらしているとされる。Samsung Electronicsは、グラフィックボード用に10nmクラス16Gb GDDR6 DRAMの量産を開始しており、これは従来のGDDR5に比べ2倍の速度で動作し、GPU性能を大幅に向上させると言われている。SamsungのASIC参入とGPU向けDRAMの生産は、今後もマイニング市場は大きく伸びると見こした戦略だと思われる。