プラスチックの射出成形技術を応用し、高純度石英ガラスを製造するプロセスを開発

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Photo: Neptun Lab/University of Freiburg

ドイツのフライブルク大学の研究チームが、ベンチャー企業Glassomerと共同で、シリカナノコンポジット粒子を用いた射出成形技術および低温焼成技術により、任意の形状の透明ガラス製品を簡便かつ迅速に成形できるプロセスを開発した。従来のガラス製造工程のような高温での溶融が不要となり、多量のエネルギー消費を伴わないことから、先端技術分野で注目されている高純度石英ガラスの省エネルギー型の量産技術として期待される。研究成果が、2021年4月9日の『Science』誌に論文公開されている。

ガラスは、ビンや窓などの日用品から、光学、通信、化学、医学などの先端技術分野まで広く活用されている。だが、所定の形状に成形加工するには、原料を1500℃以上で溶融するなど多量のエネルギーを消費し、実現できる構造にも制約があるのが現状だ。

特に、高純度石英ガラスは、機械的強度や化学的耐久性、低熱膨張率や高い熱的安定性、高い光透過性を有することで、フォトマスクやファイバー、光導波路、センサーなど最先端光学情報通信分野や、ラボオンチップなどの医療技術分野における次世代基盤材料として期待されている。しかし、製造には2000℃以上の高温プロセスが必要となり、微細な構造や形状を付与するには研削やエッチングなど繊細で複雑なプロセスが必要だという課題がある。そのため、迅速で高温を必要としない省エネルギー型プロセスの開発が望まれており、シリカナノ粒子と有機高分子から構成される溶液を用いて鋳型成形した後、1100℃以下の低温焼成によって透明な石英ガラスを得る手法などが提案されている。

研究チームは、プラスチック産業における一般的な製造プロセスであり、迅速かつコスト効率の高い射出成形技術に着目し、石英ガラスの成形に応用することにチャレンジした。その結果、独自に設計した非晶質シリカナノ粒子から構成されるナノコンポジットを用いて、3Dプリンターを利用したGlassomerの射出成形技術により130℃で成形した後、低温での焼成プロセスによって最終的に高純度の透明な石英ガラス製品を得ることに成功した。焼結し易く凝集し易いナノ粒子の欠点であるポロシティ発生の問題点なども解決し、高精度の構造や形状を実現できた。最終製品は表面品質に優れ、研磨などの後処理工程は不要であることもわかった。

研究チームは、「簡便かつ省エネルギー型のGlassomer射出成形技術は、情報通信や光学、太陽エネルギー、医療分野まで、広範に応用できる。特に、複雑な形状を有するハイテクガラス部品に大きな可能性がある。また、マイクロ光学ガラスのコーティングにより、太陽電池の効率を増大することも可能だ。射出成形へ投入される原料は、水溶液をベースとしているので、環境に優しく持続可能な技術だ」と、説明している。

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