失敗の数だけ強くなれる? 過去の失敗を記述することで、ストレスが減ってパフォーマンスも向上するらしい――米大学調査

新しいタスクに取り組むとき、過去の失敗を噛みしめながら向き合った方がいいのだろうか。それとも、フレッシュな気持ちで臨んだ方がいいのだろうか――。実は、過去の失敗を噛みしめながら向き合った方が、ストレスが軽減してパフォーマンスの向上につながるのだという研究結果が披露された。

米ラトガース大学心理学部の研究者らは2018年3月、失敗経験を文章に書き起こして反省することで、その後のストレス耐性が高まり、パフォーマンスも向上する傾向があると発表した。

失敗経験を記述することの影響を調べるため、同研究グループは唾液中のコルチゾールの量(ストレスに関係する生理反応)を計測し、ヒトの注意行動(パフォーマンス)を観察した。実験では、2つのグループを用意。一方には、過去の失敗について記述させ、他方には全く関係の無いことを記述させた。記述させた後に、2つのグループには新しいタスクに取り組ませ、その前後の様子を記録した。

その結果、失敗経験を記述したグループでは、唾液中のコルチゾール量が軽減し、ストレス反応が弱まったことを見出した。よりストレスの少ない状況で新しいタスクに臨むことができたと言える。さらにパフォーマンスも向上し、より注意深く選択をするようになったことでミスが少なくなったという。

ただし研究者らは、失敗経験の記述自体とストレスに関する具体的な関係性を見出すほどには、コルチゾールの増減量は有意ではなかったと報告している。

失敗経験の記述は、ストレスを疑似体験するようなものだという。例えば、過去の辛い経験で忍耐力が向上し、メンタルが強くなるといった過程に似ているそうだ。試験の不安について記述して不安要因を分析することで、ストレスが少ない状態で試験当日に臨め、より良いパフォーマンスを発揮したという報告例もあるようだ。

この研究成果は、学術誌「Frontiers in Behavioral Neuroscience」に論文「Writing About Past Failures Attenuates Cortisol Responses and Sustained Attention Deficits Following Psychosocial Stress」として掲載された。セラピーや教育、スポーツといった分野での注意喚起やストレス対策への応用が期待される。

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Writing About Past Failures Attenuates Cortisol Responses and Sustained Attention Deficits Following Psychosocial Stress

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