アメリカ大陸を30分で横断する――米国防総省、変形スクラムジェットエンジン開発に45万ドルを出資

米国防総省が新たに45万ドルの資金を提供したプロジェクトで、セントラルフロリダ大学(UCF)の研究者は、新しい形状変化型スクラムジェットエンジンの開発を任された。

米国防総省、特に海軍調査研究所(NRL)が資金を提供するプロジェクトが、新しいモーフィング極超音速エンジンの興味深い計画を発表したと、UCFが報告している。NRLによれば、この新しいエンジンが実用化されれば、超高速の商業旅行や宇宙旅行につながる可能性があるという。UCFの研究者が率いるこの研究プロジェクトは、理論的にはマッハ6から17、つまり時速4,600マイル(約7,400km)から13,000マイル(約21,000km)という極超音速での空の旅を可能にする。これは、アメリカ東海岸から西海岸まで30分以内で移動するのに十分な速度だ。

また、スクラムジェット技術は、民間航空輸送のほか、宇宙産業でも有望視されている。現在、ロケットの重量の大部分は、宇宙空間で燃料を燃焼させるための酸化剤だ。スクラムジェットは、大気圏内を飛行する間は大気中の酸素を利用するため、ロケットエンジンのみを使用する場合に比べて必要な酸化剤を減らすことができ、その結果ロケットの重量が軽くなり、打ち上げるコストを削減できる。

このプロジェクトの主任研究員で、UCF機械航空宇宙工学部教授のKareem Ahmed氏は、極超音速分野の第一人者だ。彼は極超音速航行用の安定かつ持続的な回転デトネーション波の作動を初めて達成し、極超音速推進用の高性能燃料の開発に対して、米国防総省から150万ドルの賞金を獲得した。

この新しい研究プロジェクトは、Ahmed氏の「スクラムジェットエンジン」、すなわち超音速燃焼ラムジェット・エンジンの研究に基づいている。スクラムジェットエンジンの主な特徴は、従来のラムジェットエンジンのように吸入空気を亜音速まで減速させて燃焼するのではなく、吸入空気を減速させず、超音速のまま燃焼させることだ。彼の研究チームは、極超音速で変形するスクラムジェットエンジンの空気熱力学モデルを開発し、現在はその性能を評価するための実験試験を行っている。

「ほとんどの極超音速エンジンは、飛行環境が厳しいため、構造的に固定されています。私たちの研究は、極超音速エンジンで初めてとなる、性能出力、推力、移動距離を最大化するために表面を自己最適化する、適応可能なエンジン構成による性能向上を示すものです」と、Ahmed氏は語っている。

関連情報

New DOD-funded Project Will Develop Morphing Hypersonic Engine | University of Central Florida News

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