- 2018-5-28
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- A European Journal, Derek Schipper, ウォータールー大学, ポリアセチレン, 共役ポリマー, 有機半導体(プラスチック半導体)
カナダのウォータールー大学の研究チームは、共役ポリマーを作る安価で簡単な方法を開発した。よく知られている共役ポリマーであるポリアセチレンは、1970年代に白川英樹博士らにより、電子受容体であるヨウ素をドーピングすることで高い導電性を示すことが発見され、白川博士らは2000年にノーベル化学賞を受賞している。
半導体としての性質を発現する共役ポリマーは、有機半導体(プラスチック半導体)ともよばれ、タッチパネルや電解コンデンサー、リチウムイオン電池の電極など、様々な分野に応用されている。こうした共役ポリマーの製造に必要な多段階反応は高価な触媒を伴うことが多く、環境に有害な廃棄物が生成されるという問題もあり、スケーラブルかつサステナブルな製造手法の確立が課題となっている。
今回ウォータールー大学のDerek Schipper教授が率いる研究チームは、水だけを副生成物とする単純な脱水反応で、最も研究の進んでいる共役ポリマーのポリ(ヘテロ)アレーンの合成に成功した。
Schipper教授は、「この合成は、この分野で長年にわたる課題だった。我々のような脱水法を使えば、新しい誘導体の発見から商品開発に至るプロセス全般を効率化することができる」と述べている。
研究チームは技術の完成度の向上とともに、ヘテロアレーン以外の構造をもつ共役ポリマーの脱水合成法の開発にも取り組んでいる。研究成果は、化学誌「A European Journal」に掲載される。