京都大学は2018年7月5日、同大学の研究グループが、圧縮や曲げの大変形に対する柔軟性が高いエアロゲルを作製することに成功したと発表した。高性能な断熱材として利用できるほか、疎水性を利用した油吸収材、ひずみセンサーなど幅広い応用が見込めるという。
エアロゲルは低密度の多孔体であり、固体として最も高い断熱性能を示すため省エネルギー社会にとって重要な材料となっている。しかし従来のエアロゲルは非常に脆く、わずかな力で壊れてしまうことが問題だった。
これまでに同グループが行った研究により、低分子状の有機部位と高分子状の無機部位が分子レベルで複合化した架橋構造がエアロゲルの柔軟性を高めることが明らかとなっていた。そのため、今回は特に有機部位も高分子化することでゲルの柔軟性をさらに高め、極端な圧縮や曲げ変形に対する高い柔軟性を示すエアロゲルを作製することに成功した。
さらに、有機部位と無機部位それぞれの架橋構造や重合度を制御することで、密度や光透過性、材料の硬さといったエアロゲルの諸物性を幅広く変化させることが可能だ。このエアロゲルは高圧の超臨界乾燥を用いない容易な乾燥法で得られるため、製造コストや生産性の大幅な改善が期待できるほか、刃物による切断が可能になる、ハンドリング性が向上するなどの利点もある。