理研ら、AIによる有機分子の設計と実験的検証に成功――機能性分子の開発が加速

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理化学研究所(理研)と物質・材料研究機構(NIMS)は2018年8月24日、人工知能 (AI) を用いて、所望の特性を持つ合成可能な有機分子の設計に成功したと発表した。

古くから、望みの特性を持った有機分子を計算機に設計させる技術が注目されてきた。しかし、そのためには、有機分子を構成する化学法則を前もって入力する必要があり、労力がかかる上、全ての法則を網羅することは不可能だった。

ところが、近年のAI技術の発展により、機能性分子を設計する技術は発展し、多数の新しい分子が設計された。しかし、設計された分子が安定に存在できるのか、また実際に合成できるのか、望みの特性を示すのかなどについては検証されていなかった。

研究グループは今回、「深層学習によるAI技術」と「量子力学に基づいた分子シミュレーション技術」を組み合わせ、望みの特性を持った合成可能な分子を設計することに成功した。

設計手法としてはまず、「Recurrent Neural Network(RNN)」という深層学習の手法によってあらゆる有機分子の法則を学習させた。次に、望みの特性を持つ分子を「モンテカルロ木探索(MCTS)」という手法で探索。さらに、探索された分子の性質と安定性を、分子シミュレーション技術である「密度汎関数理論(DFT)」によって計算した。

そして実際、特定の波長の光を吸収する分子を設計したところ、86個の安定かつ望みの吸収波長を持つ分子を算出した。そして、この86分子のうち、合成の報告があった6個を実験で合成。6個中5個が望みの吸収波長を示すことがわかった。このことから、残りの80個についても、望みの特性を持ち、合成できる可能性があるという。

実際に合成した分子の吸収スペクトル

研究グループは、この成果により、太陽電池の集光材料、電気貯蔵材料、有機EL用の発光/ホスト材料などの有機エレクトロニクス分野における機能性分子の開発が加速することが期待できるという。また今後は、金属元素を持つ分子や、より大きな分子量を持つ分子の設計/探索にも挑戦したいとしている。

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