マクルウは2016年8月29日、生体分解性マグネシウム合金ステントを想定したマグネシウム合金チューブの冷間引抜き加工に成功したと発表した。
加工に成功したマグネシウム合金チューブのサイズは外径が2mm、肉厚が0.15mm、長さ1000mm超。この加工技術により、ステント用チューブに求められる細管化や結晶粒微細化、そして高い寸法精度を、特別な設備や工法を用いることなく、低コストで実現できる。
血管の狭窄部位の治癒に用いられる従来のステントは、治療後も体内に残り、再狭窄の原因となる。この問題を解決するために研究されているのが、治療後に体内で消失する生体分解性ステントだ。
生体分解性ステントの素材としては、ヒトの体にとって重要な必須元素であり、塩素イオンを含むヒトの生理環境で腐食しやすく、かつ金属としての強度や弾性も優れたマグネシウム合金の研究が進められている。
今回マクルウは、その結晶構造から困難と言われていたマグネシウムの冷間引抜き加工を、熱処理や潤滑、工具設計などのさまざまな生産条件を最適化することで実現した。