ピエゾ素子を応用した超高速応答の新型バルブを開発――次世代光選別機のエジェクタに採用 サタケ

新型ピエゾバルブ

サタケは2018年9月18日、ピエゾ素子を応用した超高速応答、長寿命、低電力の新型ピエゾバルブを開発したと発表した。次世代光選別機のエジェクタ(空気噴射装置)に採用することで、選別能力の向上や運転コストの低減などを図る。

ピエゾ素子は圧電効果(水晶や特定の物質などに圧力を加えることで生じる歪みに応じて電圧が発生する現象)を利用して電気を取り出したり、逆に電圧をかけることで物質を変形させて振動を取り出す電子部品。高速で変換できるのが特長で、電子ライターやガスコンロの着火、車のエンジンの燃料噴射ノズル開閉弁やインクジェットプリンターなどに使用されている。

ピエゾバルブはピエゾ素子でバルブ(弁)の開閉を行い、空気の噴射を調節する。2002年にサタケ、東京大学、有限会社電子精機(現有限会社メカノトランスフォーマ)の3者で研究開発を開始し、2013年に基礎開発が終わり製品化に着手。その後、性能や耐久性の試験を重ねて信頼性を高め、2018年8月に開発を完了した。

新型ピエゾバルブは光選別機への搭載が計画されている。光選別機は、穀類などの原料から良品と不良品を判別し、エジェクタから圧縮空気を噴射して不良品を除去する機械だ。可視光で目に見える色の違いを認識できる他、赤外線など可視光域外の光で原料の成分の違いを識別できる。圧縮空気の流れはエジェクタのバルブの動作で決まるため、バルブの性能が光選別機の性能に大きく影響する。

一般的に、バルブは電磁石で開閉するソレノイドバルブが用いられている。しかし、バルブの開閉(応答)速度に限界があり余分な空気が噴射される。そのため、不良品を除去するために噴射された空気が周囲の良品にも当たる「巻き添え」が発生し、歩留まり低下の一因になっている。

新型ピエゾバルブは、開閉速度が従来のソレノイドバルブの約1.7倍の2,000回/秒と速くなり、巻き添えを低減する。同社の比較試験では巻き添えが最大10%減少。さらに非鉄素材の使用による摩耗低減で従来品の3倍以上の長寿命化、ピエゾ素子の特性に起因する50%の消費電力低減、そしてエア圧損の少ない構造による20%のエア消費量低減が達成され、歩留まり向上と光選別機運転コストの削減につながった。

サタケは、今後発売する次世代光選別機に同バルブを順次搭載していく予定だ。また、ピエゾバルブの技術を用いて精密に流量を制御できることから、光選別機以外の分野への応用も検討している。

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