任意の形状のリチウムイオンバッテリーを造形できる3Dプリント技術を開発

米デューク大学の研究チームは、FFF(熱溶解積層)方式3Dプリンターとイオン伝導性を持たせたフィラメントを使用して、任意の形状のリチウムイオンバッテリーを造形する技術を開発したと発表した。研究成果は、2018年9月18日付けの『ACS Applied Energy Materials』に掲載されている。

一般的なリチウムイオンバッテリーは円筒形か長方形の形状で、携帯電話などのデバイスを設計する際に、設計上の制約や空間の無駄が生じることが多い。

そこで研究チームは、低価格帯のFFF方式3Dプリンターを使用して、自由な形状のリチウムイオンバッテリーを造形する研究を行った。ところが、FFF方式フィラメントに使用されるポリ乳酸樹脂(PLA)はイオン伝導性がなく、そのままではバッテリーの電解質には使えない。この最大の課題を解決するため、研究チームはPLAに電解質溶液を注入してイオン伝導性を持たせた。さらに、アノードにチタン酸リチウムとグラフェンナノプレートレット、カソードにリチウムマンガン酸化物と多層カーボンナノチューブを使用することで、容量を確保した。

このリチウムイオンバッテリーを内蔵したLED付バングルを3Dプリンターで出力したところ、約60秒間点灯させることに成功したという。

研究チームによると、現段階のバッテリー容量は既製品に比べると約2桁低い。今後は実用化に向けて、材料の変更など性能の改善を行うとしている。

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