自動車用溶融亜鉛めっき鋼板のプレス成形性を向上――JFEスチール、高潤滑自動車用GI鋼板「GI JAZ」を開発

JFEスチールは2018年11月15日、欧米系自動車メーカー向けに、プレス成形性を向上させた高潤滑自動車用溶融亜鉛めっき(GI)鋼板「GI JAZ」を開発し、西日本製鉄所で営業生産を開始したと発表した。自動車メーカーの設計における車両構造やデザインの自由度の拡大、プレス加工における不良削減や工程の安定化に寄与する。

海外の自動車メーカーの多くは車体用の防錆鋼板として、主にGI鋼板か電気めっき亜鉛(EG)鋼板を使用している。EG鋼板ではプレス成形性に優れることから、表層をリン酸亜鉛皮膜で被覆し、高潤滑性能を付与したプレフォスフェイトEG鋼板(以下、EGプレフォス)が広く用いられている。しかしEGプレフォスは被覆処理が高コストという課題があった。

そこで同社は、製造コストの低いGI鋼板をベースに、EGプレフォスと同等の成形性を有するGI JAZを開発した。同社はすでに日系の自動車メーカー向けを中心に高潤滑合金化GA鋼板「JAZ(JFE Advanced Zinc)」を量産しており、GI JAZはこのJAZで培った潤滑性向上技術をGIめっき鋼板に応用したものだ。GI JAZでは、JAZと同様に亜鉛めっきの最表層を改質することにより改質層がプレス金型と亜鉛めっき層の凝着を抑制、摩擦係数の低減に成功した。

GI JAZは自動車フェンダー部品のプレス成形試験において、一般のGI鋼板と比較して成形可能範囲が約2倍に拡大する効果が認められた。また、GI JAZの表面改質層は厚さがナノメートルレベルと薄いため、自動車用防錆鋼板としての基本性能を損なうことなく、一般のGI鋼板と同等の溶接性や接着性、化成処理性などを有する。

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